理化学研究所と東京大学は、動作中でも全身の筋電図を高精度に取得できる衣服型デバイスを開発した。ノイズを抑制する伸縮性同軸配線を採用し、医療やスポーツなど幅広い応用が期待される。
理化学研究所は2025年10月16日、走行やジャンプなどのダイナミックな動作中でも全身の筋電図を高精度に計測できる、衣服型無線筋電図計測システムを開発したと発表した。導電糸、絶縁層、シールド導体の三層を伸縮性素材で構成した同軸配線を用いて外部ノイズを抑制し、安定した信号を取得できる。東京大学との共同研究による成果だ。
従来のスマート衣服は、長い配線によるノイズ混入が課題だった。同技術では、伸縮性同軸配線を採用することで、他者との接触や環境変化の影響を受けずに微弱な信号を計測できる。
肩関節を動かす実験では、他者が腕を支えて動かす状況でもノイズの増加が見られず、約0.01mVの微弱な筋活動も検出して、三角筋の活動を計測した。
両脚の筋肉8部位に電極を配置したジャンプや走行などの実験では、踏み切りから着地までの筋活動を時系列で正確に把握した。走行実験では、左右の足の筋活動が交互に現れるパターンを高精度に記録。走行のリズムや筋肉同士の協調的な働きを定量的に把握できることを確認した。いずれの条件でも安定した計測が可能で、ノイズレベルは0.1mV以下に抑えられた。
今回の研究成果は、リハビリや歩行訓練など医療や介護現場での評価、スポーツ分野でのパフォーマンス解析、さらには在宅ヘルスケアや高齢者見守りなどへの応用が期待される。
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