花王は、汗を肌上で素早く広げて乾かす新たな汗蒸散技術を開発した。汗の蒸散による放熱作用を妨げず、不快なベタつきを軽減することで、暑熱環境下での快適性向上が期待される。
花王は2025年11月27日、汗を肌の上で素早く広げ、蒸散を促進する新技術を開発したと発表した。親水性板状粉体と多孔質シリカを組み合わせた膜を形成することで、汗が広く薄く広がり、乾燥を促しやすくなる。
ヒトの肌は疎水性のため、汗が滴状になりやすく乾きにくい。そこで、皮膚表面に汗との親和性が高い機能性被膜を形成し、汗を迅速に拡散させることで蒸散速度を加速させる技術を開発した。
同社は、水のぬれ広がりやすさの指標である「接触角」を各種素材で測定した。プラスチック基板上に各種候補素材を塗布し、水を滴下して30秒後の接触角を計測することで、水とのなじみやすさを評価。その結果、特定の親水性板状粉体を塗布した場合に、接触角が低下することを確認した。さらに、この親水性板状粉体に多孔質シリカを組み合わせることで接触角は一段と小さくなり、汗がより速く広がることが分かった。
人工皮革と人工汗を用いた試験では、新技術を配合した試作製剤の蒸散時間が、未処理に比べ約33%短縮した。
従来、汗による不快感低減の研究は、汗中の塩分や皮脂による乾きにくさを抑えるアプローチだった。今回の研究成果は、汗自体を広げて蒸散を促す新たな手法となる。同社は今後も、汗の本来の機能である放熱機能を妨げずに肌を快適に保つ技術開発を継続する方針だ。
インナーから日傘まで、夏と戦うさまざまな布
磨くだけで40℃の温かさが口内に広がる歯磨き粉が「歯ぐきの悩み」を救うワケ
花王の米国テキサス州新工場が完成、現地市場への安定供給を一層強化
汗が目立たず、UVカット機能や防透性も備えた繊維を開発
汗による布地の不快なまとわりつきを客観的に評価する試験方法を開発
顔画像から水分量やコラーゲンを推定可能に、肌評価AIの機能を拡充Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
医療機器の記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム