京都大学は、ホウ素中性子捕捉療法が効きにくい腫瘍に対し、高い治療効果を示す新規ホウ素薬剤GluBsを開発した。がん細胞に多く発現する特定のアミノ酸輸送体を標的としている。
京都大学は2026年2月10日、東京科学大学と共同で、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用ホウ素薬剤としてGluBsの開発に成功したと発表した。現在、唯一薬事承認されているホウ素薬剤L-BPAが十分に集積しないL-BPA耐性腫瘍に対しても、優れた腫瘍増殖抑制効果を発揮する。
BNCTは、がん細胞に取り込まれたホウ素と中性子の核反応を利用して細胞を選択的に殺傷する治療法だが、腫瘍の種類によってはL-BPAが十分に集積しない。今回の研究では、がん細胞に多く発現するアミノ酸輸送体の1つであるアラニン-セリン-システイン輸送体2(ASCT2)に着目し、これを標的とする低分子ホウ素薬剤GluBsを設計した。GluBsは、腫瘍微小環境下でASCT2を介して取り込みが促進されるグルタミンの構造を模倣している。
L-BPA耐性腫瘍を移植したマウスを用いた実験では、GluBsを用いたBNCTは、L-BPAを使用するよりも高い腫瘍増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。また、ヒト細胞に対してほとんど毒性を示さないことも確認している。
近年、難治性がんや再発がんへの新たな治療法としてBNCTは注目されている。同成果により、L-BPAが適応できない腫瘍への対応が可能となり、BNCTの適応範囲が大幅に広がる可能性がある。研究グループは、今後はGluBsを含めたホウ素薬剤全体のさらなる最適化や安全性評価を進め、臨床応用を見据えた研究を推進するとしている。
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