量子科学技術研究開発機構は、早期乳がんに対し、切除を行わない根治的重粒子線治療の第II相試験を実施し、5年局所制御率92%を達成し、重い副作用もなく良好な外見を維持できることを確認した。
量子科学技術研究開発機構は2026年1月5日、早期乳がんを対象とした世界初の根治的重粒子線治療に関する第II相試験を実施し、その有効性と有用性を確認したと発表した。手術を伴わない非外科的治療として、5年局所制御率92%という成績を収めた。重篤な副作用は認められず、治療後の整容性も高く維持されており、手術を望まない患者に対する低侵襲な根治治療としての普及が期待される。
今回実施された臨床試験では、60歳以上のI期低リスク群患者12例を対象に、1日1回15Gy(RBE)、計4日間で総線量60Gy(RBE)の重粒子線を照射した。重粒子線は、周囲の正常組織への影響を抑えつつ、がんに集中して線量を届ける。従来のX線治療と比べ2〜3倍高い効果を有すると考えられている。
治療から5年時点での全生存率は100%、無病生存率は92%を達成し、再発は1例のみだった。重い副作用は見られず、肋骨骨折や乳腺炎関連疼痛といった遅発性事象も保存的に回復した。手術を受けた再発例を除く全ての症例で良好な整容性が維持されている。
現在、20歳以上の全リスク群0〜I期を対象とした標準的補助療法の併用試験や、50歳以上の低リスク群に向けた1回照射試験など、対象拡大や負担軽減に向けた臨床試験を進行中だ。同技術が将来的な早期乳がん根治治療の選択肢となるように、大規模な臨床試験による検証も進める方針だ。
早期乳がん治療では手術が標準とされるが、医学的に手術ができない患者や手術を望まない患者も存在する。近年は手術以外の方法も試みられているが、侵襲性やがん周囲への影響など課題がある。
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