東北大学は、乳酸菌の生死の違いによって腸管上皮細胞の代謝や免疫反応が変化することを解明した。ブタの小腸上皮細胞と乳酸菌の生菌または不活化菌を、独自の腸内細菌共培養デバイスを用いて解析した成果だ。
東北大学は2026年4月20日、乳酸菌の腸内における働きは生存状態により異なることを明らかにしたと発表した。生菌は腸細胞の代謝を変化させ、不活化菌は免疫応答を活性化することが判明した。島津製作所、伊藤園との共同研究による成果だ。
今回、生菌と小腸上皮細胞を同時培養できるマイクロ流体共培養デバイスを開発したことで、生菌と不活化菌が腸細胞に与える影響の直接比較が可能となった。
このデバイスを用いて、ブタの小腸上皮細胞と、乳酸菌の一種であるLactiplantibacillus plantarumの生菌、熱処理を施した不活化菌を共培養させ、その相互作用を詳細に分析した。RNA sequencing解析から、条件ごとに小腸上皮細胞内の遺伝子発現は大きく異なっていることが分かった。
生菌との共培養では代謝関連遺伝子の発現が増強した一方、不活化菌との共培養では、免疫関連遺伝子の発現が増強した。
また、加熱処理により乳酸菌の表面構造が大きく変化することが確認され、この変化が免疫応答の誘導に関与する可能性が示された。さらに、細菌のRNA sequencing解析とリピドミクス解析により、脂質メディエーターが細胞の代謝変化に関与している可能性が示された。
今回の研究により、乳酸菌が生菌か不活化菌かという生死の違いで、腸管上皮細胞における代謝プロセスや免疫応答が異なることが明らかとなった。
乳酸菌など健康に有益な生きた微生物であるプロバイオティクスの存在は、広く知られている。また近年は、不活化した細菌やその構成成分のポストバイオティクスも注目されている。しかし、生菌と不活化菌が腸に与える影響の違いは十分に解明されていなかった。
細胞レベルで生菌と不活化菌による反応の差異を明確に示したことで、微生物と生体細胞の複雑な相互作用の一端が明らかになった。開発した共培養デバイスは、微生物と生体細胞の相互作用を解析するための新たなプラットフォームとしての有用性も示された。
今後は、生菌と不活性菌の機能比較をより詳しく進める予定だ。代謝改善や免疫機能調節など、特定の目的に特化した機能性素材や食品の開発につながることが期待される。
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