富士経済は、「2017年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」を発表した。2025年には先端医療関連市場が1兆8546億円、ライフサイエンス研究関連市場が1479億円になると予測している。
富士経済は2017年8月18日、先端医療・ライフサイエンス研究関連市場を調査し、その結果をまとめた「2017年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」を発表した。2025年には先端医療関連市場が1兆8546億円、ライフサイエンス研究関連市場が1479億円になると予測している。
同報告書では、先端医療関連として先端医薬品(4品目)、先端治療製品(3品目)、先端診断薬/システム(6品目)の13品目、ライフサイエンス研究関連として遺伝子/ゲノム、タンパク、細胞などから21品目を取り上げ、調査・分析している。
注目度の高い先端医薬品、先端治療製品、先端診断薬/システムを合算した先端医療関連の市場は、2016年に1兆4080億円に成長。市場はほぼ先端医薬品が占めるが、今後は細胞加工・細胞培養技術の発展によってバイオ医薬品の生産性向上が期待される。
特に抗体製剤市場では、PD-1抗体の抗がん剤「オプジーボ」(小野薬品工業)が非小細胞肺がんに適応拡大し、伸長した。核酸医薬市場は、2017年に脊髄性筋萎縮症治療剤「スピンラザ」(バイオジェン・ジャパン)の発売が見込まれ、拡大が予想されている。
2016年の先端治療製品市場は、前年比2.3倍の18億円となった。再生医療製品市場は、1回の治療で1千万円以上の保険償還価格が設定されていることから市場は伸長。今後は、進行抑制や対症療法が主な治療となっている疾患に対して再生医療製品が出てくることで、市場の拡大が予想される。
遺伝子治療薬市場は国内での発売がなく、市場はいまだ形成されていない。一方で、厚生労働省が2017年内に遺伝子治療など臨床研究に関する指針改正の方針を示しており、今後は遺伝子治療薬の研究・開発の進展が期待される。また、先端診断薬/システム市場は、前年比20.8%増の29億円となった。今後は、ゲノム遺伝子の解析技術の発展や分子標的薬の発展が期待される。
注目市場として、ペプチド医薬(先端医薬品)とiPS細胞/Muse細胞(ライフサイエンス研究関連)を提示。2016年のペプチド医薬市場は前年比2.3%減の2525億円だが、今後は革新的なペプチド医薬の発売によって拡大が予想され、2025年の市場規模は2800億円と予測している。
iPS細胞/Muse細胞市場は、Muse細胞が現在発売されていないため、iPS細胞市場のみとなる。2016年の市場は4億円。iPS細胞関連は国策として多くの方針が示され、民間企業や大学・研究機関での研究も増加すると考えられる。さらに毒性試験のガイドラインが整備され、iPS細胞を使った実験を経てから人への臨床試験を行わなければならない可能性があり、市場拡大の大きな要因になることが予想される。
一方、Muse細胞は、4種類の開発が終了次第、順次発売されるとみられる。2020年までに4種類全てが発売された場合、2025年のMuse細胞市場は100億円規模になると予想。iPS細胞/Muse細胞の2025年の市場予測は115億円となっている。
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