京都大学が、マウスとハエで共通に保存される体温の日内リズムを制御する仕組みを明らかにした。カルシトニン受容体とよばれるGタンパク質共役受容体が重要な役割を担うことを突き止めた。
京都大学は2018年2月14日、体温の日内リズムを制御する仕組みにGタンパク質共役受容体の1つであるカルシトニン受容体が重要な役割を担うことを示し、それがマウスとハエのどちらでも共通にみられる進化的に保存された仕組みであることを解明したと発表した。
本研究は、同大学 薬学研究科 准教授の土居雅夫氏らの研究グループによるもので、恒温動物と変温動物が共通の体温調節の仕組みを持っていることを示した。体温の日内制御は、効率の良い代謝や睡眠を確保するために必要となる生物の根本的な生理機能であり、今後は、カルシトニン受容体を介した体内時計からの神経シグナルが、体温の時間調節を介して、どのように個体の代謝や睡眠に影響を与えるのかという研究が期待される。
ショウジョウバエは変温動物だが、ヒトと基本的に同じ体内時計の分子機構を持つ。体温が外気温に左右されるため、自ら最適な温度環境へ移動し、体温を変化させる。1日のうち、活動期には高い温度環境を好み、休息期には低い温度を好むという温度選択リズムによって、ハエは体温のリズムを生む。
研究グループは、ショウジョウバエの温度選択リズムにDH31受容体が関与することを発見。ハエのDH31受容体は、哺乳類のカルシトニン受容体に相当する遺伝子だ。DH31受容体は、ショウジョウバエの脳で体内時計を支配する時計ニューロン群の一部に発現し、DH31受容体の発現が低下したショウジョウバエ変異体では、活動期の選択温度の時間的変化が無くなることが分かった。
さらに、マウスにおいてカルシトニン受容体が体温の日内制御に寄与することを解明。1日の中の活動期における体温の変動パターンを生み出す仕組みが、マウスとハエともに、カルシトニン受容体を介した体内時計からの神経シグナルが重要な役割を担うことが分かった。
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