世界各国から集まった遺伝性角化症の専門家と患者会の代表で構成される、表皮分化疾患病名改訂イニシアティブは、遺伝的な表皮の分化障害による疾患の国際病名を包括的かつ抜本的に改訂した。
名古屋大学は2025年5月7日、世界各国から集まった遺伝性角化症の専門家と患者会の代表で構成される、表皮分化疾患病名改訂イニシアティブ(Reclassifying Epidermal Differentiation Disorders Initiative:REDDI)が、遺伝的な表皮の分化障害による疾患の国際病名を包括的かつ抜本的に改訂したと発表した。
今回の改訂では、各疾患は病因分子の機能により再分類され、各疾患名に病因遺伝子名が組み入れられた。
従来の遺伝性角化症より広い範囲の表皮の分化障害による全疾患を「表皮分化疾患(Epidermal Differentiation Disorders:EDD)」と名付けた。さらにEDDを、病変が皮膚に限定される非症候性EDD(nonsyndromic EDD:nEDD)、皮膚以外の臓器にも症状が見られる症候性EDD(syndromic EDD:sEDD)、主に手のひら、足の裏に病変がある掌蹠EDD(palmoplantar EDD:pEDD)に分類した。
また、従来使われてきた「魚鱗癬」「道化師様」など患者やその家族が侮蔑的と感じる用語や、人名に由来する病名を完全に排除した。例えば、旧病名の尋常性魚鱗癬はFLG-nEDDと、病因遺伝子に基づいた新しい病名に変更されている。
遺伝性角化症は、遺伝的な病因による表皮の分化障害のために、皮膚に角質の堆積が見られる疾患群だ。近年、これらの疾患の病因遺伝子バリアントの解明や、遺伝子バリアントによる表現型形成メカニズムの解明が進んでいる。
今回、病因分子の機能による分類と病因遺伝子を含む新病名への変更がなされたことで、患者の疾患原因や病態への理解、医療従事者による的確な治療、新たな病因標的療法の開発につながることが期待される。
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