情報通信研究機構とライオンは、主観評価に表れない香りの潜在的な好みに関する脳活動を発見し、主観評価よりも高い精度で好みの香りを予測することに成功した。
情報通信研究機構は2025年4月16日、主観評価に表れない香りの潜在的な好みに関する脳活動を発見し、主観評価よりも高い精度で好みの香りを予測できたと発表した。ライオンとの共同研究による成果だ。
同研究では、柔軟剤の香りに焦点を当てた実験を実施した。被験者は、普段から柔軟剤の香りを重視して自分で柔軟剤を選んで購入している女性25人で、柔軟剤は被験者がこれまでに使用したことのない3種類を用いた。
実験初日に、3種類の香りをかいでいる際の被験者の脳活動をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で計測し、好きか嫌いかの主観的好みを評定した。その後の2週間で、3種類の柔軟剤を自宅で2回ずつ使用し、最も気に入った柔軟剤を1つ選んでもらった。
選択された柔軟剤を、実験初日に評定した主観的な好みに基づいて予測したところ、精度は約50%で、偶然選んだ場合と同程度だった。しかし、報酬に関わる側坐核や、梨状皮質という一次嗅覚野における匂い処理の脳活動を分析した結果、約60%の精度で選んだ柔軟剤を予測できた。
実験の結果から、初めて香りをかいだ際も、報酬系や一次嗅覚野の脳活動には、主観的評価に表れない潜在的な好みが反映されることが示唆された。
これまで香りに関係する製品の開発は、主観的な評価に依存していた。今後、脳活動による予測精度を向上させることで、信頼性の高い客観的な指標として応用できる可能性がある。
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