富士フイルムは、装置開口部70cmの大口径で、液体ヘリウムを全く使用しない完全ゼロヘリウムのワイドボア1.5テスラ超電導MRIシステム「ECHELON Synergy ZeroHelium」を発売する。
富士フイルムは2025年4月9日、装置開口部70cmの大口径で、液体ヘリウムを全く使用しない完全ゼロヘリウムのワイドボア1.5テスラ超電導MRIシステム「ECHELON Synergy ZeroHelium(エシェロンシナジーゼロヘリウム)」を発表した。同年6月2日より、富士フイルムメディカルを通じて販売する。
同製品は、富士フイルムが2024年に発売した「ECHELON Smart ZeroHelium(エシェロンスマートゼロヘリウム)」に続く、完全ゼロヘリウムのMRIシステムだ。ECHELON Smart ZeroHeliumと同様に、冷凍機による極低温を効率よく伝搬して磁石を冷やすZeroHellium磁石を採用しており、新たに大口径のZeroHellium磁石を開発した。
広い装置開口部は、被験者の閉そく感や不安感への配慮だけでなく、さまざまな部位の撮像に素早く対応するために役立つ。また、磁石の冷却状態を保つコンプレッサーユニットの動作部位を適正にコントロールする新機能を搭載することで、年間の消費電力を30〜45%低減した。
検査ワークフローの効率化や再撮像リスクを低減するため、AI(人工知能)技術を活用して開発した複数の機能を搭載した。取得する断層画像の位置や角度を決めるスライスライン設定から撮像後の画像処理までサポートする。スライスライン設定サポート機能「AutoPose」は、従来の頭部、脊椎、四肢関節、乳房、股関節に加え、心臓、腹部、骨盤にも対応している。
撮像後の画像処理では、頭部MRA画像から頭皮や不要な血管を除去する作業を自動で行う「AutoClip」機能や、3D画像取得後に、事前に撮像した2D画像と同じ断面像を自動で再構成する「AutoMPR」機能などが、ワークフローの効率化を支援する。
従来の超電導MRIシステムは、必要な磁場を発生させるために磁石を極低温に保つ冷媒として液体ヘリウムを使用している。しかし、トラブル時に発生するヘリウムガスを廃棄するために、排気管の設置が必要となる。ゼロヘリウムのMRIシステムは配管ルートを気にする必要がなく、設置性の自由度が高い。
また、ECHELON Synergy ZeroHeliumは、ユーザー自身で復旧作業を実施でき、検査のダウンタイムを短縮する。
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