芝浦工業大学と北見工業大学は、世界158の国と地域における184のデジタル接触確認アプリの運用状況を調査し、約46%が終了している実態を明らかにした。COCOA終了も含め、運用終結の理由を体系化した。
芝浦工業大学は2025年11月20日、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に世界各国で導入されたデジタル接触確認(DCT)アプリの運用実態を網羅的に調査し、その結果を公表した。158の国と地域で公開された184アプリのうち、45.7%が運用を終了している実態を明らかにした。北見工業大学との共同研究による成果だ。
DCTアプリは、パンデミック時に各国で導入されたが、その効果評価は国ごとに異なる。日本で導入されたCOCOAは患者全数把握の終了に伴い停止されたが、接触確認技術が感染抑制に有効なら継続運用という選択肢もあり得た。しかし、世界的にもアプリの運用継続や終了については、統一的な整理は存在していなかった。
同調査では、英語に加え、フランス語、アラビア語、ドイツ語など各国の公用語で運用状況を精査し、感染者数やワクチン接種率などのデータと照合した。その結果、終了の背景には、政策の転換、プライバシー上の懸念、技術的制約、利用者の信頼と受容、感染状況と流行段階の5要因に分類できた。終了時期と感染状況を比較すると、感染終息前に終了する国、終息後も運用を続ける国、終了後に再流行する国など複数のパターンが確認された。
また、GoogleやAppleが提供する接触確認技術を採用しないアプリは、プライバシー上の課題と技術的制約から早期に終了しやすい傾向も見られた。多くの国で運用状況が不明なアプリもあり、公的な台帳整備の必要性などが浮き彫りとなった。
同研究は、COCOAの終了を含め、各国でなぜ運用が継続されなかったのかを初めて体系的に示したものとなる。今後の感染症対策に向けて、平時から継続運用可能なDCTアプリの設計に役立つ基礎データを提供する。接触検知の閾値を感染状況に応じて動的に変更する設計やプライバシーに配慮した仕組み、特定企業への技術的依存の低減など、次世代アプリの研究開発が進むことが期待される。
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