東北大学と東京都医学総合研究所は、閉経の年齢と認知機能との関連を調査し、40歳未満で閉経した女性は、50歳以上で閉経した女性と比べて、2年間で認知機能がより低下していることを明らかにした。
東北大学は2025年4月14日、閉経の年齢と認知機能との関連を調査し、40歳未満で閉経した女性は、50歳以上で閉経した女性と比べて、2年間で認知機能がより低下していることを明らかにしたと発表した。東京都医学総合研究所との共同研究による成果だ。
同調査は、イングランド高齢者コホート研究ELSAのデータを基に実施した。男性4286人、女性4726人を対象とし、性別と閉経の年齢区分により2年間の認知機能の変化に違いがあるかを検証した。認知機能の検査では、見当識、直後再生、言語流暢(りゅうちょう)性、遅延再生の4つの得点を指標とし、解析ではうつ症状や婚姻状況、学歴など、認知症のリスク要因の影響を調整した。
その結果、検査時の年齢ごとに認知機能の平均を見ると、閉経が50歳以上だった女性と比べて、40歳未満で閉経した女性はうつ症状が重く、認知機能の指標が低かった。男性は、閉経が50歳以上だった女性と比べてうつ症状が軽く、言語流暢性を除く3つの認知機能の指標が低かった。
また、2年後の認知機能の変化に関する解析では、閉経が50歳以上だった女性と比べて、閉経が40歳未満だった女性は4つの認知機能の指標がより低下していた。男性も、閉経が50歳以上だった女性と比べて、4つの認知機能の指標が低下していた。
なお、ホルモン補充療法の実施の有無や開始時期と、2年後の認知機能の指標について関連を調べたところ、閉経前にホルモン補充療法を開始した人は、実施しなかった人よりうつ症状が重かったが、認知機能の指標に差はなかった。
今回の結果から、女性ホルモンの減少や欠如が認知症のリスクに関わることが示唆された。しかし、ホルモン補充療法と認知機能の保持には関連性が示されなかったため、有効な対策法は明らかになっていない。今後、有効な対策法を確立する上で、女性ホルモンが認知機能の老化にどのように影響するのかを解明する必要がある。
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