富士経済は、医療およびヘルスケア、製薬DX関連の国内市場が2035年に1兆3511億円に拡大すると予測した。2024年比で約89.6%増となり、電子カルテのクラウド化やAI創薬が市場成長をけん引する。
富士経済は2025年10月3日、医療、ヘルスケア、製薬DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の国内市場に関する調査結果を発表した。「医療DX令和ビジョン」の最終年となる2030年に1兆円を突破し、2035年には1兆3511億円に達すると見込む。
大きな伸びが期待されるのは、医療ビッグデータ分析サービスや、創薬、臨床試験、マーケティング関連と予測している。
同調査は、医療情報プラットフォームや遠隔医療支援システム、医療ビッグデータ分析サービスなど計37品目を対象に分析した。現在は、電子カルテなどの医療情報プラットフォームが市場を下支えしており、2025年の市場規模は7818億円が見込まれる。
その後は、サイバーセキュリティ対策の強化や短期的な院内DX支援システムの導入が進み、医療機関のIT基盤整備が加速すると予測。2030年に向け、電子カルテなどの駆け込み需要が予想される。
2035年には2024年比約89.6%増の1兆3511億円が予測されるが、その背景には創薬分野や臨床研究分野での需要増加がある。また、2035年度末を目標とした地域医療確保暫定特例水準の解消に向けた院内の生産性向上の動きが市場拡大の追い風となると見ている。
分野別では、クラウド型電子カルテが2024年の2.2倍となる1054億円規模に拡大する見通しだ。コストやセキュリティ面での優位性から、オンプレミス型からの移行が進む。一方で、AI(人工知能)を活用した創薬支援システムは2024年比57.1倍の2000億円と急伸が予測される。研究費や施設規模に依存せず創薬できる点が支持され、企業規模を問わず製薬企業の導入が広がっている。
医療機関向けサイバーセキュリティサービスは、医療DX化のオンライン資格確認が義務化され重要性が高まっている。政府による強制力を持った医療機関のセキュリティ水準強化を背景に、2027年には800億円を超えるとされる。2030年以降は保守サービスが市場の中心となる見通しだ。
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