宇都宮大学らは、角層脂質であるセラミドの欠乏がアトピー性皮膚炎発症の直接的原因であることを実証した。セラミド不足がバリア破綻や神経過敏を招き、アレルギー炎症へ至る仕組みを解明した。
宇都宮大学は2026年4月3日、角層脂質であるセラミドの欠乏が、アトピー性皮膚炎(AD)を発症させる直接的な原因であることを実証したと発表した。セラミド量の低下は、病態の結果なのか原因なのか不明だったが、セラミド不足こそが炎症の出発点である可能性を示した。
研究チームは、セラミド分解酵素である酸性セラミダーゼ(aCDase)を表皮で過剰発現させたトランスジェニックマウスを作製し、病態を再現する新規モデルを確立した。このマウスでは、生後早期から角層セラミドが減少し、重度の乾燥や鱗屑(りんせつ)を伴う皮膚バリア機能の低下と水分保持機能の低下が確認された。
さらに、表皮神経増生と神経抑制因子Sema3aの低下も認められた。この状態でダニ抗原による刺激を加えると、正常なマウスではほぼ反応が見られないのに対し、モデルマウスは好酸球の浸潤や血中IgEの上昇、Th2型アレルギー炎症に関連する分子の著明な増加が確認された。
今回の実証により、セラミド欠乏からバリア破綻、神経過敏を経てTh2型炎症に至る一連の病態進展プロセスが明確になった。これは「炎症によってセラミドが減る」のではなく、「セラミドが減ることで炎症が起きる」という仮説を強く支持するもので、セラミド補充療法の科学的根拠となり得る成果だ。
今後、酸性セラミダーゼの活性を阻害する戦略や、かゆみを制御するスキンケアの早期予防法開発など、予防介入法と新規治療薬の開発への応用が期待される。
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