早稲田大学らは、VRヘッドセット使用中の涙液層を観察するシステムを開発し、VRヘッドセットの使用がゲームプレイ中のドライアイを生じにくくする可能性を明らかにした。
早稲田大学は2025年10月14日、京都府立医科大学と共同で、VR(仮想現実)ヘッドセット使用中の涙液層を観察するシステムを開発したと発表した。VRヘッドセットの使用が、ゲームプレイ中のドライアイを生じにくくする可能性を明らかにした。
研究では、健常者14人が30分間のVRゲームを実施し、VRヘッドセットの使用が涙液層に与える影響を解析した。ヘッドセット内に超小型カメラと照明を搭載した涙液層観察システムを用いて、ゲーム中の涙液層を経時観察した。
ゲーム開始から20分以降で、ドライアイの重要度の評価指数である涙液油層の干渉像グレードは有意に増加し、涙液油層が厚くなったことが示された。
一方、他の涙液指標や自覚症状スコアに、有意な変化はみられなかった。また、実験後に角膜と上眼瞼の表面温度が上昇した。
涙液層は主に油層と液層の2層で成り立っており、涙液油層の厚みが増すことで蒸発を抑える働きがある。今回の研究では、短時間のVR使用で涙液層の安定性が向上する可能性を示された。
先行研究では、VRヘッドセット使用前後による涙液層の安定性向上に関して、統一的な見解が得られていない。今回の研究は、VRヘッドセット使用中の経時変化を可視化した点が特徴だ。
課題は、ドライアイやマイボーム腺(上下のまぶたに並ぶ脂質分泌腺)機能不全の患者で同様の効果が得られるか不明なこと、対照群がないことが挙げられる。今後は対照群を設け、断熱効果などヘッドセット特有の要因の排除を検討する。
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