1DAYコンタクトの高効率な廃プラリサイクルを実現した「米の選別機」製造業×脱炭素 インタビュー(1/3 ページ)

便利な一方で廃プラスチックの問題が懸念される使い捨てコンタクトレンズ。現在、多くのコンタクトレンズメーカーが環境負荷低減に向けて取り組みを進めている。本記事では廃プラスチックの高効率な再資源化のシステムを構築した、シードの取り組みを紹介したい。

» 2022年08月09日 10時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 使い捨てタイプの「1DAY」コンタクトレンズの魅力は、何より非常に手軽に使えるという点だろう。容器からレンズを取り出して目に装着し、1日の終わりにごみ箱にサッと捨てる。使い終わりに洗浄する必要もなく、手間が掛からない。

 一方で、環境負荷の大きさという観点から見ると、使い捨てコンタクトレンズには課題もある。その1つが大量に消費されるプラスチックの存在だ。プラスチックはレンズだけでなく、レンズの容器である「ブリスター」や、製品の箱を覆うシュリンク包装などにも使われている。

 プラスチックごみが適切でない形で処分されれば、マイクロプラスチックによる海洋汚染といった環境問題にもつながりかねない。しかし、逆に廃プラスチックを減らしつつ、うまく再資源化できればメリットは大きい。製品生産や廃棄時のCO2排出量を削減し、昨今、社会的要請が高まるカーボンニュートラル達成に貢献できる。

 プラスチックのリサイクル推進は、コンタクトレンズメーカーにとって重要な問題だ。こうした課題解決に取り組む1社がシードである。同社の取り組みについて話を聞いた。

累計3.2トンのブリスターを回収

 シードは廃プラスチックの削減を進める「BLUE SEED PROJECT」を2019年に立ち上げ、ブリスターの回収活動などを進めている。ブリスターは家庭で出たごみに加えて、シードの1DAYコンタクトレンズ製品を生産する鴻巣研究所(埼玉県鴻巣市)で生じたごみも回収する。この他、コンタクトレンズ販売店や眼科、その他シードの協力企業などにも回収ボックスを設置して、ブリスター収集に努めている。

 回収量は1カ月当たり約150kgで、プロジェクト開始から3年間で累計約3.2トンを集めたという。重量には水分量が含まれており、個数ベースに換算することは難しいが、シード製品のブリスターは1個1gであるため、「想像以上の回収量」(シード担当者)になっているようだ。

 回収されたブリスターは有価物としてシードが環境サービス企業に売却し、その際に生じた収益は環境NGO(非営利団体)であるJEANに全額寄付する。回収物は物流パレットなどの素材に使われる。物流パレットは経年劣化しても溶かして再利用できるため、「サーキュラーエコノミ―の視点から見ても意義がある」(同シード担当者)として用途を選定した。

ブリスターの回収フロー[クリックして拡大] 出所:シード

「ドックス」が高効率なリサイクルを実現する

 だがブリスターのリサイクルで問題となるのが、ふたに使われているアルミニウムや、コンタクトレンズの破片ごみなどの混入である。従来、これらはまとめて産業廃棄物として処理し、固形燃料(RPF)などの用途に使われていた。しかし、ブリスターの素材には、プラスチックの一種であるポリプロピレン(PP)の中でも高品質なものが使われている。このため活用用途も幅広い。PPからアルミニウムやレンズの破片を効率よく除去できれば、固形燃料ではなく、リサイクル素材として活用しやすくなる。そこで開発されたのがリサイクルシステム「ドックス」である。

ドックスの外観[クリックして拡大]

 ドックスはシードと廃棄物のリサイクルなどを手掛けるダイトクが共同で開発した。ドックスが設置されているダイトクの埼玉工場には、シードの工場の製造工程などから排出される廃棄物や回収したブリスターを粉砕機に掛けた粉砕品が1日当たり数トンの規模で輸送されてくる。これらの粉砕品にはPP片やアルミニウム片、コンタクトレンズ片が混在しており、従来であれば産業廃棄物として処分されていた。これをダイトクはシードから有価物として買い取り、リサイクルにつなげるための処理を行う。

投入前の粉砕物の外観(左)と拡大した様子(右)[クリックして拡大]
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