経済産業省は、DX推進の障害となるレガシーシステムの課題とその対処策をまとめた「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を公表した。企業や政策関係者に向けた具体的な提言を記している。
経済産業省は2025年5月28日、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の障害となる、レガシーシステムの課題とその対処策をまとめた「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を公表した。2024年7月~2025年3月の委員会活動と市場調査を踏まえ、企業や政策関係者に向けた具体的な提言を記している。
同委員会は、デジタル社会に向けた政府の重点計画に基づき設置された。DXを阻害する、既存のレガシーシステムの問題に焦点を当てた議論を進めている。今回のレポートでは、技術革新のスピードに対してレガシーシステムが導入の障害となっている現状を明らかにし、日本企業の産業競争力低下につながる可能性を指摘した。
また、2024年12月~2025年2月に実施した市場動向調査の結果から、経営陣との情報共有やCxO(Chief x Officer)の設置状況が、IT資産の可視化や内製化と相関することを示した。
企業が直面するサプライチェーン上のリスクや人材需給ギャップにも言及。レガシー脱却の推進においては、経営層の強いコミットメントに加え、情報システム部門の自律性向上や事業部門との連携、ベンダー企業の技術変革および協力体制の構築が必要であると提言した。
具体的な企業側の対策として、ユーザー企業にはシステムの可視化および内製化の推進、現行業務プロセスの見直しおよび標準化、上流人材の育成および確保が求められるとした。また、ベンダー企業には、生産性向上技術の開発やユーザー企業の内製化支援が必要としている。
政府の政策としては、企業が自律的にDX成熟度やIT資産を把握できる指標やツール、ガイドラインの整備を進める。また、ITおよびデジタル人材の育成に向けた継続的な学習環境やキャリア形成支援、スキル情報の活用促進に向けた人材育成プラットフォームも構築する。
経済産業省は今後、業界団体などを介して同報告書の内容を広め、企業のレガシー刷新に向けた取り組みを後押しする。
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