パナソニック ホールディングスは、技術部門における3つの事業本部での取り組み内容を紹介するとともに、現在開発中の技術の一部を公開した。後編では、パナソニックHDが力を入れる「人の理解」技術への取り組みについて紹介する。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2025年5月23日、技術部門における3つの事業本部での取り組み内容を紹介するとともに、現在開発中の技術の一部を公開した。本稿では、前後編でパナソニックHDの研究開発(R&D)での現在の方向性を示す。後編では、パナソニックHDが力を入れる「人の理解」技術への取り組みについて紹介する。
パナソニックHDが発表した「技術未来ビジョン」では、主に環境問題対策とウェルビーイングという2つの方向性を重視することが示されたが、ウェルビーイングを実現する中で重要になるのが「人の理解」に関する技術だ。人の状態や感覚、感情を定量的に測定できるようにすることで、科学的なアプローチで人に良い影響を与える技術や手法を確立できるようになる。
パナソニックHD DX・CPS本部 デジタル・AIセンター ヒューマンテックソリューション部 部長の大林敬一郎氏は「センシングで人の心身状態を見える化し、その時やその場にあった最適なアクチュエーション(機械の動作)を行いウェルビーイングを実現する。そのためには、正しく人の心身状態を読み取るセンシング技術で多角的な見える化を実現する必要がある」と語る。
パナソニックHDが人の理解に関する技術に力を入れる理由として、大林氏はパナソニックHDの顧客接点の多さを生かせるということを挙げる。「パナソニックHDが目指す『くらしと仕事のウェルビーイング』を実現するためには人の内面を理解することは製品開発において重要であるという点が一番の意義だ。ただ、その背景としてパナソニックグループが持つくらしや仕事、移動など、さまざまな顧客接点を強みとできる点がある。人の一面を理解し定量的に評価できる手法を確立できれば、それを事業をまたいで多面的に展開することができる。複数事業に好影響を与えることができるという点でも大きな価値がある」と大林氏は考えを述べる。
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