日本IBMは、企業向けに気象予報や気象データをとともにそれらを活用したソリューションを提供する「The Weather Company(TWC)サービス」を開始する。さまざまな業界への適用を見込むが、重要顧客として「世界トップクラスの競争力を持つ日本の製造業」(同社)を挙げた。
日本IBMは2017年3月13日、東京都内で会見を開き、企業向けに気象予報や気象データをとともにそれらを活用したソリューションを提供する「The Weather Company(TWC)サービス」を開始すると発表した。
日本IBMは同年2月22日に気象庁の定める気象予報業務の許可を取得しており、同社に所属する気象予報士が24時間365日、リアルタイムにアジア太平洋地域の気象予報を行う「アジア・太平洋気象予報センター(APFC)」を開設している。IBMが気象予報センターを開設するのは米国と欧州に続き3カ所目となる。
これにより、TWCサービスによって提供されるグローバルな気象予報や気象データだけでなく、それらを基に気象予報士が顧客の業種や地域などに合った最適な気象予測を行うことも可能になる。さらに、分析サービスや人工知能サービス「Watson」を組み合わせることで、顧客のビジネス価値向上に寄与していきたい考え。
米国本社のIBMは2016年1月にTWCサービスを買収しており、同年6月に機械学習を活用した短期で狭域の気象予測モデル「Deep Thunder」を発表。TWCサービスはDeep Thunderを加えて162の気象予測モデルを有しているが、気象予測をする際のこれらの重み付けを地域や時系列などに合わせて人工知能(AI)で行っているという。また3カ月以上の長期予報についても、機械学習を適用しての予測精度向上に取り組んでいる。
TWCサービスの現在の主な顧客は、航空、電力、メディア、保険などの業界になる。また気候変動に大きな影響を受ける小売業界も重視している。また、顧客の多い航空、電力、メディアについてはSaaS型のパッケージが既に用意されている。
日本IBM ワトソン事業部でTWCサービスのJapan Salesを担当する加藤陽一氏は、これら以外の重要顧客として製造業を挙げた。
加藤氏は「日本の製造業は世界トップクラスの競争力を持っている。だが、自社製品のサービス展開などへの気象予報や気象データの適用については、海外の方が進んでいる。そこで、TWCサービスとWatsonの組み合わせを提案し、価値を生み出すことに貢献していきたい」と語る。例えば、降雨や降雪の予測データを自動車のテレマティクスサービスと組み合わせれば、路面状況に合わせた安全な運転操作を実現できるという。
一方、モノづくりへの適用については、「海外では取り組みが進んでいない分野だ。モノづくりに注力する日本企業と協力して新たな価値を創出したい」(加藤氏)としている。
 Watson IoTで「自動車」や「産業機器」を支援、IBMが業界特化ソリューション
Watson IoTで「自動車」や「産業機器」を支援、IBMが業界特化ソリューション 製造業で人工知能はどう使うべきなのか
製造業で人工知能はどう使うべきなのか IBMが人工知能「Watson」事業部の本部を開設、世界規模で活用の推進へ
IBMが人工知能「Watson」事業部の本部を開設、世界規模で活用の推進へ 勤続17年の日米共同開発観測衛星「TRMM」が残した気象予測技術の進化
勤続17年の日米共同開発観測衛星「TRMM」が残した気象予測技術の進化 ドローン向け気象情報サービス、低空に特化した気象情報を提供
ドローン向け気象情報サービス、低空に特化した気象情報を提供 上空1000メートルの高層気象観測をドローンで
上空1000メートルの高層気象観測をドローンでCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク