オークマは「JIMTOF2016」において、金属3Dプリンタ機能を備えた複合加工機を出展。ミーリングや旋削、研削加工、焼入れ、金属積層造形などの工程に1台で対応することで工程集約できる利点を訴えた。
オークマは「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」(2016年11月17〜22日、東京ビッグサイト)において、新たに発表した金属3Dプリンタ機能を備えた複合加工機を出展した。
オークマは2016年10月28日に、ミーリング、旋削、研削加工に、焼入れ、金属積層造形を1台で行えるスマートマシンとして「MU-6300V LASER EX」と「MULTUS U3000 LASER EX」の開発を発表。今回のJIMTOFでは初めて出展しデモを行った。同社の金属3Dプリンタ機能を備えた複合加工機は初となる。
同社では開発に向けて「工程集約を徹底することを強く意識した」(オークマ説明員)という。金属3Dプリンタ機能を備えた複合加工機(ハイブリッド複合加工機)は既にDMG森精機やヤマザキマザック、ソディックや松浦機械製作所などが展開を行っているが、同社のハイブリッド加工機の特徴の1つが、レーザーを用いた焼き入れ工程を行えることである。これにより、ミーリング、旋削、研削加工に、焼入れ、金属積層造形までを一度テーブルにセットすれば、移動させることなく作業を行える。同社では「究極のワンチャッキングマシン」として訴求している。
また、積層造形の方式については、金属粉を吹き付け、それをレーザーで溶かしながら積み重ねる「指向性エネルギー堆積」方式を採用。これについては競合他社企業と同じものである。ただ、オークマのハイブリッド複合加工機の特徴は「高精度であること」と同説明員は述べている。通常は細かい網目のような形状の積層造形は、通常のハイブリッド複合加工機では後の切削処理なしでは実現が難しい。しかし、同社の技術では積層造形だけで比較的精密な形状を造形できるという。
これらのポイントになったのが、積層造形や焼き入れで用いるレーザーのスポット径を自由に変換できる技術である。同社のCNC制御装置OSPにより、精度が必要な時はスポット径を小さく、それほど必要ないときはスポット径を大きくという変更が行えるようにした。そのため、さまざまな形状の造形を効率よく精度高く作り出すことができる。また、競合製品ではレーザー照射部を動かす場合が多いが、オークマはレーザーは固定にし、ワークのテーブルを動かすことで造形を行う。これが精度を高める要因となっている他、すぐに水の噴射なども行うことができ、作業時間の短縮につながっているという。「金属粉の噴射型の技術ではあるが、パウダーベッド方式に匹敵する作業スピードを実現できている」と説明員は述べている。
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