ナウマンゾウのパーツを切り出したサンプルカッターの手前に、レーザー加工機があります。
これは3D CADと同時に導入されたもので、応接室に展示されていたパズルの他、ハロウィングッズのランタンや、段ボールを組み合わせて昆虫の模型を作る「段ボール昆虫シリーズ」など、切るだけでなく彫刻もできるレーザー加工機の利点を生かした製品づくりに活躍しています。
また、導入によって製品の出来栄えも改善されました。サンプルカッターでは、どうしてもこのような「カエリ」が出てしまいますが、レーザー加工機導入によって、この悩みが解消されました。
こちらがレーザーで切ったもの。繊細な形状もきれいに切れています。
取材のお土産に「段ボール昆虫シリーズ」と「かぼちゃのランタン」を頂いたので早速組み立ててみましたが、切り口がきれいなので誰でも簡単に組み立てられます。デザインもかわいいので、完成品には大満足です。
段ボールを知り尽くした専門家が段ボールに新たな価値を付加した数々の造形品は、中信紙工のWeb通販で購入できます。その中で特に高い評判を得ているのがこの、「こども神輿」です。
重量わずか13kgのとにかく軽いお神輿で、これまでに13台も売れているのだそう。基本的には組み立てマニュアルを付けたキット販売ですが、組立費別途にて完成品での販売も応じてくださるとのことです。
未塗装品と塗装済み品の2つが用意されており、塗装品はあのコマ大戦テーブルと同じ、漆塗り調の美しい仕上がりになっています。
「3D データを使ったモノづくり」と聞くと、何か特別な加工設備を用意しなければならないのかと考えがちですが、同社 代表取締役の川窪裕氏は3D CADの導入を決めた理由について、「モノづくり業界で3Dデータ活用が当たり前になりつつある中で、まず、データを受け取れる体制を整えることが先決だった」と述べています。現在は、3D CADオペレータの育成が課題とのことです。
結果的に、既存の設備の活用場面を広げることになり、見事な段ボール造形製品を作られています。モノづくりの手段が進化しても、何から何まで時代の変化に付き合う必要はなく、自社の強みを把握した上で先の需要を見据え、「今足りないモノは何か」を知り、それを順に補っていくことで営業品目の拡充を図っていくのは理想的かもしれません。
川窪社長が言うには、「造形製品以外にも教材やペットグッズなど意欲的にバリエーションを増やしていきたい」ということで、今後の商品展開がとても楽しみです。
藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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