そういえば、段ボールの原材料は古紙で、古紙も元をたどれば原料は木です。段ボール製品にも木製品のような温かみを感じるのはそこからくるのかもしれません。
この恐竜たちは、まだ2D CADだけで製品設計を行っていた頃の作品だそうです。そう言われれば、シルエットが直線的であることに気付きます。
その後の3D CADの活用によって、自然な丸みを帯びたものも作れるようになりました。先ほどのかぼちゃ型の猫ちぐらもその1つです。
2014年の春に、塩尻市立図書館から「段ボールを使って1分の1スケールのナウマンゾウの模型を造っていただけないか」という相談が舞い込みます。1分の1スケールのナウマンゾウの大きさは、高さ2.8m×全長4.7mとのことで、「どう作ればよいのだ」という迷いとこれまでに取り組んだことのないスケールに不安を抱きつつも、同施設の「ぜひとも図書館に来た子どもたちに実物大のナウマンゾウを見せたい!」という要望に何としても応えたいと決断。プロノハーツの協力を得て、最新の3Dツールを駆使した2社共同での製作作業が始まりました。
さて一体、どんな手法で1分の1スケールのナウマンゾウの造形を成し遂げたのでしょうか?
長野県にはナウマンゾウの化石が出土することで有名な野尻湖があり、発掘と研究の成果を展示する「野尻湖ナウマンゾウ博物館」には、6分の1スケールのナウマンゾウの模型があります。実物大のナウマンゾウのスケール感をつかむために、博物館からこの6分の1スケールの模型を拝借。それを3Dスキャンすることから作業を開始しました。
模型をくまなくスキャンして点群データを作成し、3Dデータを作ります。
3Dデータを縦横にスライスしていき組立用のスリットを設け、各パーツの形状を2D図面に展開します。
この2Dデータをサンプルカッターの制御ソフトで取り込み、カットします。こちらがそのサンプルカッターです。
これ1台で、切り抜きも筋押しもできます。抜き型を作るほどの量ではない、箱の試作や小ロット製品は、この機械で対応しています。テーブルサイズは2900mm×1600mmと広く、畳1枚以上の面積の材料をセットできるので、大型パーツの切り出しでは頼りになります。
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