図面にも触れたことのないような初心者を対象とした、図面の読み方・描き方講座。お題をクリアしながら、解説を読み進めていくことで、いつしか図面の読み描きができるようになる! 今回は「幾何公差」に関する基礎解説とお題を出題する。
皆さんこんにちは!
前回お届けした「『図形を表すルールを覚えよう』の巻」の中で、「図面は、誰が見ても同じように解釈できなくてはなりません」と説明しました。今回は、そのあたりのお話をさらに詳しく紹介したいと思います。
宿題の解答と解説に入る前に、2015年5月に掲載した「ママさん設計者がやさしく教える『部品図の描き方超入門』」の中で解説した「寸法公差」に関する記述をぜひ読み返してみてください。
簡単に説明すると、寸法公差とは「機械精度や材料条件の変動といった要因で生じる寸法のバラツキを考慮した“仕上がり数値の許容範囲”のことで、合否判定の基準」となります。
では、指定された寸法公差から外れていなければ、その部品の精度は保証できるものなのでしょうか?
実は、必ずしもそうではありません。精密部品の中には、単純に寸法数値の良しあしだけでは判定できない「形体の誤差」があります。そのため、形体の誤差についても寸法公差のように判定基準を設けなくてはなりません。
例えば、
短径10mm×長径15mmの楕円の穴に、φ10(直径10mm)の軸をガタつかないように通しなさい。
といわれても、普通に考えてムリですよね。
ガタつきを防ぐためには、穴と軸の両方に寸法公差を指示するのと併せ、“形体”にも配慮しなくてはなりません。
それならばと、細かな要求事項を、
軸が穴に真っすぐ入ってスムースにフィットするように、軸も穴もシャキッとキメてください。公差値は、0.01でお願いします!
などと、図面にごちゃごちゃと記入されても、読みづらくて正直困ってしまいます……。
そこで登場するのが、「幾何公差」です!!
「真っすぐスムースにフィットするようにシャキッとキメたい」のであれば、その思いを幾何公差に託すのです。
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