車載ソーラーパネルの可能性は、ファンモーターを駆動する12Vバッテリーや、駆動用バッテリーへの充電が想定されてきた。しかし、エネルギーマネジメントの観点では、全く異なる見かたがあるように思える。つまり「ソーラーパネルを備えた走るエネルギーデバイス」としての側面である。
ジャストアイデアであり、法整備や認証などの制度設計や機器開発が必要となるが、もし車載ソーラーパネルの出力が1kWのように充実してくると、家庭用ソーラーパネルと補完することが可能となると思われる。以下にそのシステム構成を示す。
これから見るように、これまで住宅が太陽光発電や蓄電池を備えるのに対し、クルマは駆動用バッテリーのみであったが、車載ソーラーパネルを持つことで2つのソーラーパネルと2つの蓄電池により、多様な使い方が提案できる。これまでのV2Hに対して2通りのV2H機能を有する、いわゆる「Dual V2H」ともいえるのではないだろうか。
全体を通して感じたのは、車載ソーラーパネルは変換効率1つとっても、多様な技術や工法が開発されつつあり、まさに発展途上だということだ。駆動用バッテリーと同様に相当の時間をかけながら伸展していくのであろう。それに伴って、車載ソーラーパネルによる走行距離も次第に伸びていくことが予想される。
また、エネルギーマネジメントの観点からは、太陽光発電機能を備えた走るエネルギーデバイスとして、多様な提案がなされるであろう。今後、多くの電動車両にソーラーパネルが搭載され、平常時/非常時における、エネルギーのリスクマネジメントの一つとして検討されることを期待したい。
和田憲一郎(わだ けんいちろう)
三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。
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