豊田氏は「年間の生産/販売が600万台の時と1000万台の時では仕事の進め方が変わってくると感じている」と、三角形や四角形などを基に説明した。
「三角形、四角形、六角形を、それぞれ300万台、400万台、600万台を目指す組織だと仮定する。角が人だとすると、対角線が内部調整の線になる。三角形には対角線がないが、四角形なら2本、六角形なら9本と“内部調整”が増えていく」(豊田氏)と解説。
続けて「生産/販売1000万台は十角形になる」と説明した同氏は、「十角形には35本の対角線がある。1本変更すると他も全て変更になる。トヨタは組織の機能の強さで成長してきたが、機能間の調整が増える中で、意思決定の実行やスピードが遅くなったのを実感した」と語る。
カンパニー制によって内部調整を減らすことで、責任ある立場のリーダーが現場に近いところで物事を決められるようにし、“もっといいクルマづくり”を推し進めるきっかけにしていく。
2016年3月期決算は売上高は前期比4.3%増の28兆4031億円、営業利益は同3.8%増の2兆8539億円、当期純利益は同6.4%増の2兆3126億円で、4期連続の増収増益だった。連結販売台数は、北米市場でSUVが好調だったものの新興国市場が低迷し、前期比29万1000台減の868万1000台。グループ全体でも、前期比7万4000台減の1009万4000台となった。
2017年3月期の業績見通しは、5期ぶりの減収減益を見込んでいる。売上高は前期比6.7%減の26兆5000億円、営業利益は同40.4%減の1兆7000億円、当期純利益は同35.1%減の1兆5000億円となる見通しだ。熊本地震による工場稼働停止の影響は織り込んでいない。減益の予測は為替差損によるもので、改善の積み上げによって為替影響を吸収していくのが課題となる。
一方、販売台数は21万9000台増の890万台を見込んでいる。このうち、日本市場での販売は18万1000台増の224万台を目標とする。「プリウス」や「パッソ」といった新モデルのほか、投入予定の新型クロスオーバーSUV「C-HR」が販売をけん引するとしている。
豊田氏は「ここ数年の決算は、為替の追い風による参考記録だった。この風がやんで、等身大の姿が見えてきた。真の実力を追求し、意思を持って、継続できるかどうか、覚悟が本物かどうか試される1年になる」と2017年3月期の意気込みを述べた。
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