トヨタ自動車は、2016年3月期(2015年度)決算を発表した。会見の中で同社 社長の豊田章男氏は「2017年3月期(2016年度)は、われわれの意思の真贋が試される年になる」と説明。為替の“追い風”が止み潮目が変わったことを好機と捉え、「大きくなりすぎたトヨタ」(豊田氏)の仕事の進め方を変えていくことをあらためて宣言した。
トヨタ自動車は2016年5月11日、東京都内で会見を開き、2016年3月期(2015年度)決算を発表した。会見の中で同社 社長の豊田章男氏は「2017年3月期(2016年度)は、われわれの意思の真贋が試される年になる」と説明。為替の“追い風”が止み潮目が変わったことを好機と捉え、「大きくなりすぎたトヨタ」(豊田氏)の仕事の進め方を変えていくことをあらためて宣言した。
仕事の進め方を変えるため、トヨタ自動車は2016年4月18日付で組織改正を実施した。技術開発本部や車両系生産技術・生産本部、デザイン本部など機能ごとに分けていた組織を、製品を軸とした9つのカンパニーに分散させるものだ。
これらのカンパニーのうち、2013年4月に設置したビジネスユニット「第1トヨタ」「第2トヨタ」「Lexus International」「ユニットセンター」は存続させた。ユニットセンターは「パワートレーンカンパニー」として改称する。
先行開発を担う新たなビジネスユニットとして「コネクティッドカンパニー」「先進技術開発カンパニー」を新設。また、車格ごとに「Toyota Compact Car Company」「Mid-size Vehicle Company」「CV Company」と独立させた。
自立した小さなカンパニーに分けることで、“もっといいクルマづくり”をもう一歩進めようとしている。豊田氏は、「既にレクサスブランドが先行して実践している」と説明した。
小さなカンパニーの成功例は、レクサスブランドのフラッグシップクーペ「LC500」に表れているという。「2016年1月のデトロイトモーターショーで披露したLC500は、トヨタの生産/販売1000万台の議論の中では絶対に生き残らないモデルだった。しかし、2012年6月にカンパニーの先駆けとしてレクサス・インターナショナルが立ち上がり、自由度の高い組織となったことで商品化に向けた原動力が生まれた」(豊田氏)。
全社でカンパニー制とすることでレクサスの事例が他のカンパニーにも展開され、「トヨタのクルマづくりが変わっていく。1000万台の議論の中では埋没してしまうクルマが生き残る可能性が生まれる」(同氏)とする。
新しいカンパニー制に変更するきっかけとなったのは競合他社との協業だったという。「『86』を一緒に作った富士重工業や、マツダ、BMWとのアライアンスでは、クルマづくりの技術や情熱、スピード感、リソースやお金の使い方など、見習うべき点があった。なぜトヨタではできないのかと仕事を見直すきっかけになったのが、それらのアライアンスだった。単なる資本提携や共同開発にとどまらない機会になる。自前主義を捨て、小型車づくりでダイハツ工業と協力するのも競争力の向上につながる」(同氏)。
そして豊田氏は、小回りのきく組織に変えなければならなかった理由を、図形を用いて説明した。
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