トヨタ自動車は、国内で全社的な体制変更を実施すると発表した。これまで車両の機能ごとに分けていた組織を、製品を軸としたカンパニーに分散させる。カンパニーは先行開発で2つ、車格ごとに3つ新設する。ヘッドオフィスには、長期的な視点のビジネス提案や技術革新に取り組む「未来創生センター」や間接部門を置く。
トヨタ自動車は2016年3月2日、国内で全社的な体制変更を実施すると発表した。技術開発本部や車両系生産技術・生産本部、デザイン本部など機能ごとに分けていた組織を、製品を軸としたカンパニーに分散させる。カンパニーは先行開発で2つ、車格ごとに3つ新設する。カンパニー以外の本社直轄部門であるヘッドオフィスには、長期的な視点のビジネス提案や技術革新に取り組む「未来創生センター」や間接部門を置く。これに伴う役員人事は2016年4月1日付で、組織改正と人事異動は同年4月18日付で行う。組織の壁を壊して余分な調整をなくし、「もっといいクルマづくり」に集中できる体制を作る。
ヘッドオフィス | 未来創生センター |
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コーポレート戦略部、経営支援室等の直轄部署、事業開発本部、渉外・広報本部、総務・人事本部、情報システム本部、経理本部、販売金融事業本部、調達本部、カスタマーファースト推進本部、生産管理本部、TOYOTA Gazoo Racing Factory | |
ビジネスユニット | 第1トヨタ(北米本部、欧州本部、アフリカ本部、国内販売事業本部) |
第2トヨタ(中国本部、アジア・中東・北アフリカ本部、東アジア・オセアニア本部、中南米本部) | |
先進技術開発カンパニー | |
Toyota Compact Car Company(トヨタ自動車東日本) | |
Mid-size Vehicle Company | |
CV Company(トヨタ車体) | |
Lexus Internatinal Co.(トヨタ自動車九州) | |
パワートレーンカンパニー | |
コネクティッドカンパニー | |
表 トヨタ自動車の新組織 |
2016年4月の体制変更で9つのカンパニーを置く。これらのカンパニーのうち、2013年4月に設置したビジネスユニット「第1トヨタ」「第2トヨタ」「Lexus International」「ユニットセンター」は存続させる。ユニットセンターは「パワートレーンカンパニー」として改称する。
2013年4月に設置したこれらのビジネスユニットは、トヨタ自動車の自動車事業を分割することで、事業や収益の責任を明確化し、意思決定を迅速にする目的があった。第1トヨタは北米/欧州/日本を、第2トヨタは中国/オーストラリア/アジア/中近東/アフリカ/中南米を管轄とし、製品企画から生産、販売まで一貫して管理する役割を持つ。
旧ユニットセンターは、エンジン/ドライブトレーン/ハイブリッドを担う技術開発本部と、生産技術本部の電池/生技/計測/ユニット生技などの部を移管して設立した部門だ。
先行開発を担う新たなビジネスユニットとして「コネクティッドカンパニー」「先進技術開発カンパニー」を置く。先進技術開発カンパニーには、ボデー/シャシー/実験領域/試作/生産技術/FC技術/電子技術/材料技術といった技術開発本部の各領域のうち、先行開発となる人員を集約する。また、各領域で量産を担う人員は車格ごとのカンパニーとLexus Internationalに分散させる。
車格ごとのカンパニーは「Toyota Compact Car Company」「Mid-size Vehicle Company」「CV Company」を新たに設ける。Lexus Internationalはこれまでレクサスブランドのヘッドオフィスとしての役割を持ち、製品開発が中心だった。今回の組織改正により、Lexus Internationalにも技術開発本部の量産部隊を移管する。デザインも各カンパニーで行う。
国内工場も各カンパニーに所属させる。Mid-size Vehicle Companyには元町工場、高岡工場、堤工場(いずれも愛知県豊田市)を、CV Companyに本社工場(豊田市)と田原工場(同県田原市)を、Lexus Internationalに元町工場と田原工場を移管する。2016年4月の時点では各工場の生産品目に変更はない。
トヨタグループの車体メーカーもカンパニーに移管し、Toyota Compact Car Companyにトヨタ自動車東日本、CV Companyにトヨタ車体、Lexus Internationalにトヨタ自動車九州が属する。
2016年8月に100%子会社となるダイハツ工業については、どのカンパニーに所属するのかは明らかになっていない。軽自動車カンパニー的存在として単独で扱われるのか、トヨタ自動車東日本とともにToyota Compact Car Companyに所属することになるのか、注目されるところだ。
今回の体制変更は、「もっといいクルマづくり」と事業を支える人材育成を促進する狙いがある。
トヨタ自動車はこれまでにも、2011年に「地域主体経営」を、2013年には「ビジネスユニット制」を導入するなど、地域に根差した商品展開や現地現物を徹底した人材育成に取り組んできた。しかし、現在の仕事の進め方も過去の延長線上にあり、従業員や関係者の頑張りに頼っていたという。また、組織間の調整に時間を費やしているという課題に対する反省もあり、今回の全社的な体制変更を実施する。
製品を軸に仕事を進められる体制とすることで、組織の壁によって発生していた余分な調整をなくし、「もっといいクルマづくり」に集中できるようにしていく。
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