Maxim Integrated Products(マキシム)は、2015年に組織体制を変更した狙いや売上高の17%を占める車載向け事業の方針について説明した。
マキシム・ジャパンは2016年3月9日、東京都内で事業戦略説明会を実施した。米国本社のMaxim Integrated Products(マキシム)が2015年に組織体制を変更した狙いや売上高の17%を占める車載向け事業の方針について説明した。
マキシムは2015年に構造改革を実施した。アナログ半導体市場の環境の変化と成長鈍化に対応するためだ。
1つ目の変革は、製品事業部とセールスの統合だ。これにより、各ビジネスユニットの連携を改善し、生産性を向上した。また、ポートフォリオも見直した。「本来必要なものだけ残す」(マキシム エグゼクティブ・バイス・プレジデント 全製品事業部およびセールス&マーケティング本部統括のマシュー・マーフィー氏)ため、事業の売却や切り離しを進めた。これに合わせ、TowerJazz(タワージャズ)にテキサス州の8インチウエハー生産拠点を売却した。マーフィー氏は「タワージャズとは、これまでパートナーとしての付き合いがある。(タワージャズとは複数年の供給契約を結んでいるが)今後も品質には変わりない。工場をフル活用するための判断だ」と説明した。さらに、組織の再編も行った。
こうした構造改革を終えた新体制により、成長市場を絞り込んで差別化を図る。ターゲットとするのは高性能電源が求められる、産業分野やデータセンター分野、ウェアラブル分野、そして自動車分野。パワーマネジメントのリーダーとしての存在を維持していく考えだ。
これらのうち車載分野は、売上高が2010〜2015年の6年間で年平均26%の成長を果たし、2015年には3億ドル(約340億円)を突破した。マキシムは、これをさらに成長させたい考えだ。
マキシム バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャ オートモーティブ製品事業部のランドール・ウールシュラジャー氏は、今後、アナログ半導体市場において車載用がスマートフォン用を上回るペースで成長する見通しを示した。
2015年は両分野のアナログ半導体市場はほぼ同規模で、スマートフォン用が86億ドル(約9700億円)、車載用は87億ドル(約9800億円)だった。2018年に向けてスマートフォン用の成長は横ばいとなる一方、車載用は年平均5%の成長率で100億ドル(約1兆1300億円)に達すると見込む。「マキシムはユニークなポジションを生かし、市場の拡大を上回る成長率を達成していく」(ウールシュラジャー氏)と自信を見せる。
マキシムが注力するのは、車載用アナログ半導体市場全体よりも高い伸び率が見込める製品市場だ。同社が主力製品と位置付けるパワーマネジメントICの2015〜2018年の成長率は6%にとどまるが、LED照明は8%、映像をはじめとするデータのシリアルリンクは25%、電気自動車やハイブリッド車のバッテリーマネジメントが14%の成長が同じ期間で見込まれている。
これらの製品を累計した市場規模は2015年の15億ドル(約1700億円)から2018年には20億ドル(約2300億円)に拡大する。年平均成長率は9%で、車載用アナログ半導体市場全体の5%の2倍近くになる。
また、「顧客体験として自動車メーカーが期待する事項が、スマートフォンと似てくるところは有利に働くだろう。当社はこれまで、スマートフォン向けの製品を開発するために投資し、さまざまな技術やソリューションを提供してきた。これらを自動車向けに応用していくことができる環境となった」(同氏)。
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