ウールシュラジャー氏が「今後の展開を楽しみにしている分野」は、先進運転支援システム(ADAS)での映像の高速伝送処理だという。「これまでのディスプレイは解像度が低く、機能も少なかった。現在では、高解像度のディスプレイが増加、大画面化も進んでいる。バックモニターなど車載カメラの映像を見る場面も増えた。将来的には、6台以上の車載カメラによるサラウンドビューや電子ミラーなどが搭載され、われわれの技術が貢献できる」(同氏)と述べた。
事業戦略説明会では、100万画素の高画質のサラウンドビューのデモンストレーションを行った。映像データをデジタルで伝送するため、現在量産されているサラウンドビューよりも高画質にすることが可能になる。
ただし、サラウンドビューに使用する4台の車載カメラをアナログカメラからデジタルカメラに置き換えるだけでは高額なシステムとなってしまう。映像を送受信するICと、映像を同期させるためのFPGAを使用するためだ。
「デジタルカメラによるサラウンドビューは、高価格帯の一部車種で採用されているのみで、普及価格帯のモデルに搭載するのは難しい」(同社の説明員)。幅広い価格帯の車両で車載情報機器のディスプレイが高解像度化していることを考えると「より高画質なサラウンドビューを求めるドライバーは多いはずだ」(同氏)とする。しかし、アナログカメラではサラウンドビューの高画質化に限界があり、映像のデジタル伝送は避けられないという。
これに対しマキシムは、デシリアライザ「MAX9286」を提案している。4台のデジタルカメラそれぞれに対応する形で必要だったデシリアライザとFPGAを置き換え可能で、「従来のデシリアライザを4つ使うよりも安いコストでサラウンドビューを製品化できる」(同氏)としている。カメラ同期用のソフトウェアが不要で、基板スペースや部品点数の削減にもつながる。−40〜105℃の温度範囲で動作し、車載ICの品質規格AEC-Q100に準拠している。
今後は、センシング向けでは100万画素を超える高画素化に、電子ミラー用では一般的な30fpsや60fpsを上回るフレームレートに対応した製品を開発していく。
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