1990年代後半になると、PCIバスを始めとする並列バスでは、並列データの同期が難しく、これ以上の高速化困難になってきました。
そこで、コンピュータや周辺機器など開発する各社で、高速直列データ転送の検討が始まりました。
Intelが中心となり1999年にNGIO(Next Generation I/O)という高速シリアル転送方式の規格を発表しました。
一方、Compaq(現在のHP)、IBM、HPの3社はハイエンドサーバ用のバスとしてFIO(Future I/O)規格を発表しました。
蓋を開けてみると、NGOとFIOは両方ともハイエンドシステムのための高速シリアル転送方式ということで、仕様が似通っていて、共通の技術を使っている部分も少なくありませんでした。そこで、両社は1999年中には規格を統一して、共通規格をInfiniBand(インフィニ・バンド)とすることで一致しました。このInfiniBand規格は2000年に発表されました。
InfiniBandはハイエンドサーバ用の高速、高性能バス規格で、現在もネットワークサーバやスーパーコンピュータなどでよく使われています。
ただ、ハイエンド向けなので、コストが高いため、その後、Intelはこのコンソーシアム(InfiniBand Trade Association)から脱退し、より低価格で、PCIバスと互換性を持ったPCI Expressを開発しました。データ転送速度は当初、1レーン当たり2Gbps(SDR規格)で8b/10b変換を使用していました。レーン数は1レーン、4レーン、12レーンの3種類があります。
その後、倍速のDDR規格となり、4Gbpsになり、さらに2008年には、4倍速のQDR(8Gbps)と高速化が図られてきました。
2011年に発表されたFDR規格では1レーン当たりの転送速度が14Gbpsになり、さらに8b/10b変換から64b/66b変換になり、実効転送速度はQDRの2倍になりました。
2014年末には1レーン当たり25GbpsのEDR規格が発表される予定になっています(図14)。
前田 真一(マエダ シンイチ)
KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。
近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)
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