どのようにして、次世代のエンジニアに設計環境を残すべきか。新潟原動機では、具体的にどのような取り組みを進めているのだろうか。
「当社では、メインの設計CADにPTC『Creo』(旧:Pro/ENGINEER Wildfire)を活用しているが、配管設計のさらなる効率化を考え、現在『Autodesk Inventor』(以下、Inventor)を併用している。CreoをInventorに置き換えるのではなく、CADの特性、得意なところを生かして使い分けている」と、福岡氏は自社内での活用例を紹介。
配管設計の効率化の検討を始めた際、世界中にある配管モデリングができるCADを独自に調査し、オートルーティング機能とソリッドモデラーであるという条件、さらに価格面で絞り込みを行い、Inventorが含まれる「Autodesk Product Design Suite」の導入を決定したのだという。「Inventorを採用した結果、Creoで作成した設計資産を有効活用しながら、配管設計の作業効率が大幅に向上した」(福岡氏)。
ただ、その一方で課題もあるという。「例えば、JIS規格に準拠していないだとか、ライブラリが足りないなどの不都合があるのも事実。こうした課題を解決するため、現在当社では、日本の設計仕様でInventorが使えるよう米Autodeskに対応を検討してもらっている」と福岡氏。
また、最新バージョンの「Inventor 2016」のメリットの1つとして、他社CAD連携技術「AnyCAD Technology」を紹介。この技術は、他社のCADファイルを変換することなく、参照したままInventor 2016へインポートできるもので、元データ(他社のCADファイル)はリンクされた状態でInventor 2016のパーツ/アセンブリとして扱えるようになる。つまり、他社CADで作られた元データ側に設計変更があった場合でも、瞬時にその変更結果がInventor 2016側にも反映されるということだ。
「とにかく、これからは1つのCAD環境にこだわるのではなく、目的に適したCADを組み合わせたハイブリッドな設計環境の可能性にも目を向けるべきだ。そうした環境を構築することで業務全体、仕事がどのように変わるかを見極めて、次世代のエンジニアへ設計環境を残していかなければならない」(福岡氏)。
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