オートデスクは、クラウドベースの3次元CAD/CAM/CAEツール「Autodesk Fusion 360」の日本語対応を開始したことを発表した。今回のアップデートに関し、米Autodeskで製造業向け事業の戦略立案責任者を務めるスティーブ・フーパー氏に話を伺った。
オートデスクは2015年10月9日、クラウドベースの3次元CAD/CAM/CAEツール「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)の日本語対応を開始したことを発表した。
今回の正式アナウンス前から日本語対応された最新バージョンがダウンロード可能だったこともあり、既に日本語化されたインタフェースでFusion 360を利用しているユーザーもいることだろう。
日本語対応について、米Autodeskで製造業向け事業の戦略立案責任者を務めるスティーブ・フーパー(Stephen Hooper)氏は、「Fusion 360の英語版をリリースした当初、ここまで日本のユーザーが(英語版にもかかわらず)ダウンロードして積極的に使用してくれると思わなかった。現在、Fusion 360の利用者数でみると日本はトップ3に入る。こうした反響を受け、今後より多くの日本人ユーザーに使ってもらうために日本語化は欠かせないだろうと判断し、正式にサポートすることにした」という。
ちなみに、Fusion 360は2013年に英語版がリリースされ、中国語に続き、このたび待望の日本語対応を果たした。
今回のアップデートでは、日本語対応と併せて幾つかの新機能が追加されている。
その中でも大きな機能の1つが、線形静解析と固有値解析のサポートだ。「これまで、解析というのは出来上がったものを後から評価するのが一般的だった。しかし、これからは早期のデザイン段階である程度の解析・評価をしてしまうことで設計品質を高め、手戻りコストを削減していくことが重要となる。今回の解析機能の強化は、Fusion 360ユーザーにとって大きなメリットになるはずだ」(フーパー氏)。
解析を行う際は、どの素材(マテリアル)でどの解析を行うか決定し、3次元空間上にアセンブリを固定。アセンブリのどの部分に力を掛けるかを指定する。解析を実行する際に必要となるメッシュ化は、複数のオプションから選択可能で、安定かつ確実にメッシュ化できるよう工夫されているという。
「Fusion 360の特長の1つは使い勝手の良さだ。解析というと難しいイメージを持たれるかもしれないが、設計と同じツール上で、簡単な操作で解析を実行できる」(フーパー氏)。なお、Fusion 360には解析結果をレポーティングする機能も備わっている。
また、設計データや解析結果といった関連情報/ドキュメントなどを、関係者に共有し、コラボレーションしながら設計・開発を進めるための仕組みも強化されている。
1つは今回のアップデートで追加された「ライブビュー」機能だ。同機能はWebブラウザベースのビュワーで、自分のPCに表示されている作業スペースを、ネットワークを介して他のPCやタブレット端末上にリアルタイム表示することができる。リアルタイム表示とともに、チャット機能なども利用できるため画面を共有しながらのデザイン検討が迅速に行えるという。
さらに、Fusion 360そのものではないが、同年10月9日に同じく日本語版の提供が開始された、設計プロジェクト向けコラボレーションサービス「Autodesk A360」により、プロジェクトチームメンバーとのデータ共有やチャットによる議論など、さまざまなコラボレーションをリアルタイムで実施できるようになった。
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