京都大学の研究グループは、DNAオリガミからマイクロメーターサイズの2次元集合体を作成する技術を開発した。多様なパターンの集合体作成が可能で、複数種の生体分子を配置することもできる。
京都大学物質−細胞統合システム拠点(iCeMS)の遠藤政幸准教授、同大大学院理学研究科の鈴木勇輝特定研究員、iCeMS・理学研究科の杉山弘教授の研究グループは2015年8月28日、DNAオリガミと呼ばれる約100nmのDNA平面構造体からマイクロメーターサイズの2次元自己集合体を作成する技術を開発したと発表した。
研究グループが開発したのは、DNAオリガミを人工脂質二重膜表面に吸着・濃縮し、2次元自己集合化させることで多様な空間パターンのDNA自己集合体を創出する方法だ。マイカと呼ばれる平面の基盤上に脂質二重膜を作成し、そこへ一辺が100nmの十字型DNAオリガミ構造体(モノマー)を静電的に吸着すると、モノマー同士が結合し、格子構造を形成した。
また、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)によって、DNAオリガミの単量体や多量体が膜上で結合・解離をくり返しながら大型の格子構造へ成長していく様子を実時間でとらえた。加えて、格子中の点欠陥が溶液中の単量体によって補填・修復される様子も観察できた。
さらには、DNAオリガミの形状やオリガミ間の相互作用の様式を変更することで、多種多様なパターンの集合体が作成できることを確認。集合体表面の任意の部分にさまざまな外来分子を装飾・配置することにも成功した。
今回の研究の成果は、ボトムアップ型ナノテクノロジーの基盤技術となるもので、ナノデバイスの集積化、組織化や新規分子デバイス構築などへの展開・応用が期待される。
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