住友化学はリチウムイオン電池用セパレータ「ペルヴィオ」の生産体制を2倍に増強すると発表した。既存の既存の大江工場(愛媛県新居浜市)の生産能力を2016年までに1.3倍に引き上げ、さらに同社の韓国のグループ企業内に新工場を建設する。
住友化学は2015年6月10日、リチウムイオン電池用セパレータ「ペルヴィオ」の生産体制を強化する発表した。電気自動車(EV)の普及によるリチウムイオン電池の需要拡大に対応するもので、既存の大江工場(愛媛県新居浜市)の生産能力を2016年までに1.3倍に引き上げ、さらに同社の韓国のグループ企業内に新工場を建設する。韓国の新工場は2017年から量産を開始する予定で、ペルヴィオの生産能力を国内外合計で2倍に増強する。
ペルヴィオはポリオレフィン基材にアラミド樹脂で耐熱層を形成した電池の安全性確保に寄与するセパレータ。車載用途向けで採用が進んでおり、パナソニックの円形型リチウムイオン二次電池への採用を通して、米国のEVベンチャーであるテスラ・モーターズ(テスラ)の高級EV「モデルS」にも搭載されている。
テスラはパナソニックと共同で、米国ネバダ州にリチウムイオン電池の巨大生産工場「Gigafactory(ギガファクトリー)」の建設を進めており、2016年に量産開始を予定している。工場完成時の生産能力は電池セルで年間35GWhを予定しており、これは2013年における世界全体のリチウムイオン電池セルの生産規模を上回る数値だ(関連記事:テスラとパナソニックの「ギガファクトリー」、米国ネバダ州での建設が決定)。
住友化学はこうした大規模な生産能力を持つギガファクトリーの稼働や、世界的なEVの普及によるリチウムイオン電池の需要拡大に備え、2014年にペルヴィオの生産能力を2020年までに3倍に引き上げる方針を示していた。今回の生産体制の強化もこの方針に基づくもので、既存の大江工場の生産体制の強化に加えて、分散立地による安定供給体制の構築や将来の拡張余地などを考慮して韓国への新工場の建設を決めたとしている。
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