確かにここは、ちょいと難しいぜぃ。もう少し詳しく説明してやんよ。そんじゃ、まずこれを見てみろ(図2)。
それでは、図2を解説しましょう。図中のAは、機械的単位、つまり部品締結の「N」(ニュートン)という単位(ディメンション)と電気的単位、つまり、電気抵抗もしくは、導電率の「%IACS」(アイアックス・パーセント)というディメンションが混じっています。
次にBですが、締結はありますが、期待するのは%IACS一種です。最後はCですが、部品の締結力だけを期待するN一種です。
筆者が設計審査員の場合、Aは却下、BとCは承認の確率が高くなります。言い換えれば、「一部品一機能」が設計の基本形であり、「一部品多機能」の場合や「共締め」の場合、「1つの部品に対してつの目的があり、その目的を達成するために、1つの手段、そして、1つのディメンションを有する。」を指導しています。
難しいけど、2回読んだら何とか理解できました。1つの部品に対して1つの目的で、1つの目的に対して1つの手段と1つの単位(ディメンション)だけで設計しなさいってことなんですね。
他に学問的なところで分からないことがあれば、何でも僕に聞いてよ!(キリッ)
今回の問題が理解できたので、いいです。さー明日も転職試験だわ! いよいよ最終面接だから張り切っていこー♪ 目指せ正社員っ♪
うああああダメやめてその試験受けないでぇっ!! 正社員になりたいなら、うちの入社試験受けたらいいじゃないっ!! 僕が頑張って、あの手この手で根回しするからさ〜〜ウワーン!!!!!!
オメェなぁ、その必死さで設計改善に取り組んでみろよぅ! あん! エリカちゃんをひきとめるには、オメェの会社、いやオメェ自身も、もっとしっかりしなくちゃいけねぇなぁ!!
ガッテン承知〜〜っ!!
甚さん! 今まで、いろいろな職人ワザや知識を伝授してくださり、心から感謝します。これからも、もっと勉強しますよ。転職するまでは、今の職場の設計をしっかり支えます。
僕からもお礼を言わせてください。かつての僕は首席の院卒で鼻高々でしたが、「学校で学ぶことは重要だが、実務は自己研鑽(けんさん)が基本である」と身をもって教わりました。甚さん、ありがとうございました。
お、おう、なんか照れくせぇじゃねぇかい……。その自己研鑽の気持ち、これからも絶対に忘れるんじゃねぇぞうっ! これは命令だ!
2008年4月から始まった「甚さんシリーズ」ですが、今回でひとまず完結です。長年のご愛読、感謝いたします。
またいつかお会いしましょう!
*筆者より:今後もセミナーや書籍などで皆さんにお会いできると思います。また企業でのセミナーやコンサルテーションなどについては当事務所Webサイトの「ご注文・ご質問・ご連絡コーナー」からお問い合わせください。
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。
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