現実的にはこれらのコンセプトビデオのような高度なソリューションを実現するのはまだ難しいが、これらのビジョンを実現する第1段階として、今回は倉庫でのピッキング作業効率化を実現する「SAP AR Warehouse Picker」と保守保全作業を支援する「SAP AR Service Technician」の提供を決めたという。
SAP AR Warehouse Pickerは、倉庫作業者を対象としたアプリで、使用するにはSAPの倉庫管理システム「SAP Extended Warehouse Management 7.0.1」以降のバージョンを導入し、Android 4.0.3 ICS以降のバージョンのOSを搭載したスマートグラスを用意することが前提となる。これらの前提のもと、スマートグラスにSAP AR Warehouse Pickerをインストールすれば、スマートグラスへのピッキング指示の受信、バーコード読み取りによるピッキング入力、音声認識による入力などの作業支援が得られるようになる。
このアプリの特徴は、アプリそのものは端末上で動作するSAPの基幹システムと直接連携が可能である点だ。基幹システム上のデータを基に作業指示を作成してスマートグラスに表示し、作業が完了すればその報告をそのまま基幹システムに記録できる。
一方、SAP AR Service Technicianは保守・保全作業者を対象としたもの。Android 4.0.3 ICS以降のバージョンのOSを搭載したスマートグラスとともに、保守・保全のモバイルアプリケーションである「SAP Work Manager 6.1」の導入が前提条件となっている。同システムを利用することで、3次元モデルによる作業手順の参照や音声メモの記録、専門スタッフとのビデオ通話などが、スマートグラスを通して行えるという。同アプリについては基幹システムと直接接続するわけではなく、モバイル端末の補完機としての利用を想定しているという。
これらのアプリの提供は2014年11月6日からだが、実質的にさまざまなウェアラブル端末用アプリを本格展開するのは2016年を想定しているという。「現実的にはハードウェアの制約に縛られている現状。ハードウェアの進化を待ちながら、よりニーズに合ったアプリケーションやユースケースを作り上げていく」とSAPジャパン IVE&ソリューション本部 テクノロジー&プラットフォームソリューション モビリティソリューションズ ディレクターの井口和弘氏は話している。
2015年は、SAPのERPユーザーに対する実証実験を進め、日本でも評価・検証を進めていくという。また本格展開を計画する2016年には20社以上の導入を目指すとしている。
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