インフォコムは、救急車の車内にカメラとタブレット端末を設置して、病院機関に映像を伝送するシステムを展示した。こういったシステムを採用する救急車は、ここ1〜2年で増えている。
インフォコムは「国際モダンホスピタルショウ2014」(2014年7月16〜18日、東京ビッグサイト)で、患者の様子/症状を撮影した画像を救急車から病院に伝送するシステム「HiSMRT99」を展示した。救急車の車内に取り付けたカメラで患者の様子を撮影し、その映像をタブレット端末から3G/LTE回線を通じて医療機関に送信する。タブレット端末にはインフォコムが開発したエンコーダソフトウェアが搭載されている。カメラとタブレット端末は、USBケーブルで接続される。
HiSMRT99は、携帯電話通信回線を使用して明瞭な画像をリアルタイムで送信できることが特長だ。インフォコムによれば、画像は「医師が患者の病状をきちんと把握できるくらい明瞭」だという。これにより、患者を病院に搬送しながら、救急隊員と医師が患者の様子を共有できるようになる。病院に到着した後に実際の治療や救急対応を始めるまでの時間も短縮できる可能性が高い。
HiSMRT99の主な仕様は以下の通り。
伝送端末環境 | 車載PC(Windows/Intel「Core i5」以上/メモリ2GB以上)、車載カメラ(各種ビデオカメラ、Webカメラ) |
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受信端末環境 | PC/タブレット端末/Apple「iPad」/スマートフォン(iOSおよびAndroid) |
映像フォーマット | 伝送側は独自フォーマット、受信側は各種フォーマット(スマートフォンなども可能) |
解像度 | 640×480画素/800×600画素/1024×768画素 |
伝送レート | 100キロビット/秒(10〜15フレーム/秒) |
現在は、搬送患者の容体/様子を救急隊員が電話で伝えているケースがほとんどだ。症状を正確に伝えるには言葉では限界があるので、救急車から映像を伝送するシステムへのニーズは数年前から高まっていた。だが、エンコーダの性能や通信回線に課題があり、実現が難しかった。インフォコムによれば、「ここ1〜2年くらいでこうした課題が解決され、映像伝送システムを救急車で使用する実証実験が始まっている」という。HiSMRT99は、2014年7月1日から大分県の救急車32台に導入され、実証実験が行われている。
もともとインフォコムは、エンターテインメントの用途を想定して同システムの開発を進めていた。だが、救急車からの画像伝送というニーズを受け、医療用途にも応用できると考えたという。
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