キヤノンは、高速・高精度な3次元認識を実現する3Dマシンビジョンシステムを発売し、マシンビジョン市場へ新規参入することを発表した。同社は産業用カメラ市場への参入も発表したばかりで、デジタルイメージング分野の技術応用を加速させている。
キヤノンは2014年4月21日、高速・高精度な3次元認識を実現する3Dマシンビジョンシステム「RV1100」の発売を開始し、マシンビジョン市場に新規参入することを発表した。同社では同年3月19日に産業用カメラ市場への参入も発表しており、産業用画像認識分野への取り組みを強化している(関連記事:キヤノンが産業用カメラ市場に参入――デジタル一眼レフのCMOSセンサーを応用)。
キヤノンでは、デジタルイメージング技術を生かした新規事業拡大への取り組みを強化しており、産業用分野への参入はその取り組みの一環となる。キヤノンによると、製造ラインで活用するマシンビジョンの全世界市場規模は、2013年は約2900億円で、中でも3Dマシンビジョンは年50%の成長を見せている。今後も大幅な成長が見込まれており、新規参入を決めたという。
参入第1弾製品として投入した「RV1100」は、同社がカメラや事務機の研究開発で培ってきた画像認識技術や情報処理技術を活用し、高速かつ高精度に部品の3次元認識が行えることが特徴だという。
曲面のある部品や形状に特徴の少ない部品、複雑な構造をした部品などさまざまな部品への認識が可能。ロボットアームを制御するコントローラーへのデータの送信時間も約2.5秒と短く、スピーディに部品を供給可能だ。最大で1160×1160×600mmの範囲を計測可能で、大きな部品が不規則に山積みされていても認識できるという。
認識方法は3次元CADデータのマッチング方式で、CADデータの入力と部品の撮影だけで取り上げる部品データをシステムに登録できる。状態が異なる山の撮影を5回行えば、部品の見え方をCGにより自動的に学習する検出方式を採用している。また計測距離データだけでなく濃淡画像も同時に利用してCADデータをマッチングする新方式により、さまざまな部品に対応することが可能だ。
通常は3次元計測するために部品の姿勢を認識する2次元ビジョンセンサーや仮置き台などを用意する場合が多いが、新製品では高精度な3次元計測が可能であるため、これらが不要となり、製造ラインのシンプル化やコスト削減が可能だという。その他、検査用途や監視用途などへの展開も想定する。価格感については「BtoBのため明らかにしていない」(キヤノン広報部)。生産台数は月産30台を計画している。
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