日本精工(NSK)はリコンディショニングに対応した高負荷容量大形円すいころ軸受を開発した。
日本精工(NSK)は2025年3月3日、修復して再利用可能にする“リコンディショニング”に対応した高負荷容量大形円すいころ軸受を開発したと発表した。同形状の軸受を使用する鉱山設備でのメンテナンスコスト削減やCO2排出量削減に貢献する。
今後、鉱山設備メーカーにサンプル品を提供し、セメントメーカーなど他業界にも市場拡大を進め、本開発品の売り上げとして2030年に年間20億円を目指す。
世界的に都市化や人口増加が進み、新興国を中心に、建築物に使用される鉄鉱石や石炭など鉱山資源の需要は拡大を続けている。
鉄鉱石や石炭の採掘には、地表表面から渦を巻くように地下に向かって掘り進めるため、数百〜数千ha(ヘクタール)の広大な面積が要る。油圧ショベルやホイールローダー、ダンプトラック、さらには鉱物を砕き、選別するための粉砕機や振動機など多種多様な建設設備が24時間稼働しており、エネルギーを大量に使用することから、カーボンニュートラルに向けた対応が強く求められている。
設備メーカーではIoT(モノのインターネット)を用いた遠隔監視、稼働の最適化による採掘の効率化、設備の電動化による省エネルギー化などに取り組んでおり、その中でも、設備のユニット内にあるギアや軸箱などの構成部品の再利用は、省エネ、CO2削減、メンテナンスコストの削減にあたり、重要性の高い取り組みとして位置付けられているという。
今回、NSKが開発した軸受はダンプトラック、粉砕機への適用が可能だ。ダンプトラック、粉砕機には負荷容量の高い大形の円すいころ軸受が使用されており、それらは低速で回転しながら、大きな荷重、振動を受けるなど、過酷な使用条件となっている。
鉱山設備は数十年という長い期間使用するケースもある。そのため、数年ごとに設備メンテナンスにより、構成部品のリコンディショニングを行っている。ただ、軸受は現状、リコンディショニングに対応しておらず、メンテナンスのたびに廃棄、交換されている。
軸受製品をリコンディショニングに対応させるためには長寿命化と分離構造化が不可欠だ。
軸受には個々に負荷容量があり、加わる負荷や回転速度、潤滑環境など使用条件によって寿命を算定し、設備のメンテナンス周期を考慮して軸受仕様を決定している。仮に、現行品の軸受を設備メンテナンス時に修復したとしても、負荷容量が不足するため次の設備メンテナンスまで使い続けられるだけの寿命を担保することが難しい。
また、現行品では軸受の外輪を外すことはできても、その他の構成部品は一部溶接されるなど非分離構造となっており、内輪の状態の詳細を確認できない。
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