『標準テキスト オフショアプロジェクトマネジメント 【SE編】([著]幸地司、霜田寛之 [監修]北島義弘、倉田克徳:2009年 技術評論社)』によると、海外にソフトウェア開発を発注する際、仕様書を書く上で、以下が代表的な障害となるそうです。
日本語の文章では、主語がない文章が当り前です。略語や和製英語は日本の文化内でしか使いませんので、日本では何の支障もありませんが、外国人エンジニアは大混乱するでしょう。二重否定の文章は、日本人であっても解釈するのは簡単ではありません。つまり、「外国人エンジニアは仕様書の行間を読んでくれない」の正体は、この1〜7を理解してくれないということなのです。
日本人とのやりとりでは、1〜7を含む文章でも、行間を阿吽の呼吸で補ってくれるでしょうが、異なる文化背景を持つ外国人エンジニアには、全く理解できません。その点を特に注意する必要があります。仕様書に関係する最大の問題点は、日本人の文章力、というより、日本文化に根差した文章に問題があるといえます。
自然言語を使用して、海外発注用の仕様書を書く限り、曖昧さは避けられません。しかし、本稿で紹介した注意点を踏まえ、仕様書を丁寧に書くように心掛けると、相手が理解しやすい文章が書けるはずです。もしも、要求仕様書だけで全てを伝えることが無理だと感じた場合は、例えば、プロトタイピングなど、「実際に動作する仕様書」の作成が有効でしょう。(次回に続く)
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