ソフトウェア開発にとどまらない、PCを使う全ての人が対象となるシリーズ「業務効率化の道具箱」。第10回は、第9回で紹介したVBAによる自動集計アプリのバージョンアップ版を作ってみる。
本シリーズでは、日頃の作業を効率化し、定時で帰宅する方法を紹介しています。主な業務効率化の例は、下記です(詳しくは第154回を参照)。
前々回からは「自分でツールを作る」をテーマとしています。
前回は、自作ツール作成の例題として、VBAを使用して集計アプリを作成しました。今回は、その続きです。業務に合った自作ツールを作成することで、業務の効率化につながります。
本題に入る前に、以下の例題から効率化のポイントを振り返ります。
例:1万件のデータをひたすらExcelに転記する
この業務を担当する時、皆さんはどのように作業するでしょうか。筆者の場合は、以下のようなポイントを考えます。
まず、力技(手作業)で実施する場合を考えます。転記作業ならば、以下のように業務を分解し、1件当たりの時間をざっくり見積もります。
上記の作業1件当たりの時間を考えます。例えば、1件当たり1分で実施できるとすると、単純計算で1万分かかりますね。時間に直すと、1万÷60=166時間(一日8時間勤務とすると21日)となるでしょう。
単純作業のため、誰でも作業できますが、効率的とはいえません。
次に、全件集計する必要性を考えます。例えば、全件やったとしても、使用されない場合は無駄作業となりますね。そこで、「本当に全件必要か」を確認します。例えば、完成イメージがないまま作業を依頼する場合は最悪です。作業内容を確認し、なるべく、「代表的な1000件だけでもよい」「やっぱやらない」という方向性に持っていきましょう。
次は、「外部ツールを使用する」を考えます。これは、ネットや自社の資産から、外部ツールを探し、業務に適用する方法です。ただし、以下の注意点があります。
外部ツールを使用するときは、自社の転記作業に適用できるか検討します。使用可能な場合は、ツールの習得時間を考えましょう。外部ツールは非常に優秀ですが、使い方を覚えることに時間を取られます。場合によっては、手作業よりも時間がかかるかもしれません。よって、使い方を覚える時間と手作業を比較して、どちらで実施するか決定します。
最後に、「自作ツールを作成する」を考えます。これは、転記作業を自動集計するツールを作成することです。作成する時間は余分にかかりますが、手作業と比較して早ければツールを作成します。
これら4つのポイントには、それぞれメリット、デメリットがあります。これらを踏まえて、より良い方法を使い分けることが大事です。
そこで本シリーズでは、このような効率化のポイントを「業務効率化の道具箱」と定義して連載をしています。その中でも今回は、VBAを使用した自作ツールの作成方法の話になります。
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