イチから全部作ってみよう(8)発注側の要望を受けて始まる「ヒアリング」の例題山浦恒央の“くみこみ”な話(177)(1/3 ページ)

ECサイトを題材にソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」がスタート。シリーズ第8回は、正しい要求仕様書に向けた第一歩となる「ヒアリング」について具体的な例題を使って解説します。

» 2024年05月21日 07時00分 公開

1.はじめに

 山浦恒央の“くみこみ”な話の連載第170回から、入門者をターゲットとして、「イチから全部作ってみよう」というシリーズを始めました。このシリーズでは、多岐にわたるソフトウェア開発の最初から最後まで、すなわち、要求仕様の定義、設計書の作成、コーディング、デバッグ、テスト、保守までの「開発フェーズ」の全プロセスを具体的に理解、経験することを目的にしています。第170回を読んでいない方は、以下のリンクから一読することをおススメします。

⇒連載「山浦恒央の“くみこみ”な話」バックナンバー

2.前回の振り返り

 前回は、要求仕様フェーズの大まかな開発手順を示しました(図1)。

図1 図1 要求仕様フェーズの開発手順[クリックで拡大]

 発注側が企画を考え、それに基づいて開発側がヒアリングを行います。ヒアリングで確認した情報は、ヒアリングシート(議事録など)に記録し、それを要求仕様書として定義します。最終的に、発注側とレビューし、問題がなければ要求仕様フェーズは完了です。

 今回は、ワインのECサイト開発を事例に、この「ヒアリング」を実際にどのように行って、ヒアリングシートに記録するのかを具体例を基に解説します。

3.小さい単位で進めよう

テイスティング ※写真はイメージです

 習い事でも同様に、いきなり全てのことにチャレンジするのは困難です。例えば、明日からワインのソムリエの資格を勉強しようと考えたとします。その場合、ワインの一般知識、テイスティングのやり方、ワインの製法の勉強など学ぶべきことが山ほどあります。よって、今日はテイスティングの表現について勉強しようといった小さい単位で学んでいくことが一般的であり、実践的です。

 本シリーズでも、いきなりECサイトの全ての機能を考えるのではなく、小さい単位で進めていきます。

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