ソフトウェア開発にとどまらない、PCを使う全ての人が対象となるシリーズ「業務効率化の道具箱」。第7回は、ターミナルソフトである「RLogin」の導入方法や使い方を紹介する。
本シリーズでは、日々の作業を効率化し、定時できちんと帰宅する方法を紹介しています。主な業務効率化の例を以下に示します(詳しくは第154回参照)。
今回は、「ツールを導入する」という観点から取り上げます。世の中にはさまざまなツールがあるので、世間の動向をチェックし、使いやすいツールを試すことも効率化につながります。
今回は、その一例として「RLogin」というツールを取り上げます。
筆者がカリフォルニア大学バークレイ校にいた1980年代、今のようなインターネットはなく、原形となる米国国防総省の高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency:ARPA、後のDARPA)のARPANET(アーパネット)を使っていました。江戸時代の最先端の科学者である緒方洪庵や杉田玄白が遺伝子の二重らせん構造やiPS細胞など想像もつかなかったのと同様、当時、コンピュータ系のエンジニアにとってWebサイトや携帯電話、YouTuberの存在が想像できなかった大昔です。
その頃、メインフレームに指示を出す場合、横に据えたコンソール端末から命令語を打ち込んでいました。もちろん、マウスを使って画面をクリックする「グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)」なんてありません。わざわざ、メインフレームのコンソール端末まで出向き、コマンドを手入力していました。「プロジェクトの自分の机からメインフレームを制御できたら楽なのに」と誰しも思っていました。
この要望をかなえたのが「ターミナルソフトウェア」です。ネットワークを通じてメインフレームに接続し、コンソール端末の機能(ハードウェアとソフトウェアの両方の機能)をソフトウェアで疑似的に実装しました。ここから、ターミナルソフトが始まります。
ソフト開発で役立つツールの一つが、この「ターミナルソフト」です。ターミナルソフトとは、コマンドベースでさまざまな処理を実行できるツールのことです。例えば、外部端末からの操作で実行するプログラムがあるとします。その場合、ターミナルソフトからSSH接続などで外部端末にアクセスし、プログラムの実行、ログの確認などを行えます。キーボードやモニターがない機器の制御もネットワーク経由でできます。
今回取り上げるRLoginとは、フリーのターミナルソフトです。このツールにはさまざまな機能があります(他のツールでも同様のことはできるでしょうが)。
RLoginでは、複数アプリを立ち上げずにウィンドウを簡単に分割できます※1)。
※1)昔の話です。筆者は、ターミナルソフトを2つ起動して作業していました。片方は試験環境、もう片方は本番環境に接続しています。あるとき、試験環境のデータを入れ替えました。作業を終え、試験環境を確認したところ、データが反映されていません。「なぜだろう?」と本番環境を確認すると、試験環境に入れるはずだったデータを、本番環境に入れていたことが分かり、がくぜんとしました。同様の失敗は、数多くのエンジニアから聞いたことがあります。皆さんも十分気を付けてください。
RLoginでは背景に接続先のIPアドレスを表示できます。また、文字の色もウィンドウごとに設定でき、接続先ごとに背景/文字の色やフォントサイズを変更できます。よって、3.1で挙げたような筆者の失敗を防止する手段になります。
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