NECは、大量の商品を同時に識別し、種類、位置、個数などを高速・高精度に把握できるセンシング技術を開発した。100個以上の商品を同時に識別できる技術は“世界初”だという。
NECは2012年12月5日、大量の商品を同時に識別し、種類、位置、個数などを高速・高精度に把握できるセンシング技術を開発したと発表した。
同技術をコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの流通業界で活用することで、販売実績だけでは困難な購買者ニーズの抽出や在庫管理の徹底、細緻(さいち)な需要予測といったDCM(Demand Chain Management)のさらなる高度化を実現し、地域・店舗に応じたきめ細やかな店舗運営を支援できるという。
今回開発した新技術は、(1)100個以上の大量の商品を一度に識別する画像認識技術と、(2)見えにくい場所の商品の有無を検知するセンシング技術の組み合わせにより実現している。
100個以上の大量の商品を一度に識別する画像認識技術の概要は次の通りだ。今回、画像から抽出した多数の特徴点データの位置に基づいて、特徴点を高速・高精度に分類し、どの特徴点の集合がどの商品であるかを識別する技術を開発。これにより、商品を識別するバーコードやICタグを利用せずに、画像内に映った全ての商品の同時識別を実現している。同技術を、ペットボトルや缶の飲料の識別に適用し評価した結果、同時識別可能な商品数を、従来技術(2012年3月発表)と比較して30倍以上改善し、世界で初めて100個以上の商品を同時に識別できることを確認したという。
そして、もう一方のキー技術である、見えにくい場所の商品の有無を検知するセンシング技術の概要は次の通りだ。今回、弱い電波を発する特殊なシートを開発し、それを商品棚に設置。その上に置かれた商品が電波を遮ることを利用し、商品棚の奥など、見えにくい場所にある商品の個数を正確に検知する。これにより、数百個の商品の有無や購買者が手に取ったり、戻したりといった情報を約1秒ごとに検出するセンシングシステムを実現した。
これらの技術の組み合わせにより、店舗の商品棚に陳列されている全ての商品の種類、位置、個数など、商品管理に必要な情報を瞬時に把握することが可能になる。さらに、商品有無の変化を検知することで、購買者が商品棚から商品を手に取ったり戻したりする動作を把握し、商品の関心度を推定することもできる。
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