テスラが「モデルS」の車台を公開、「容量当たりの電池コストを大幅に低減」:電気自動車(2/2 ページ)
車台の後部には、モーターとインバータ、ギヤボックスを一体化したユニッが組み込まれている。モーターは、Roadsterと同じく交流誘導モーターを採用。ただし、ステータの直径はRoadsterのものより25%大きい25cmで、出力とトルクが向上している。米国市場で販売されている「パフォーマンス」グレードの場合、モーターの最高出力は310kW、最大トルクは600Nmである。
車台の後部。左側のモーター、右側のインバータ、中央上側にあるギヤボックスは一体化したユニットになっている。(クリックで拡大)
充電コネクタと充電器については、テスラ独自のものを用いる。さらに、約30分間で150マイル(約241km)走行できる分の電力を充電できる「スーパーチャージャ」も用意しており、2012年中には米国内で設置を始める予定だ。
ケルティ氏は、「日本仕様のモデルSでは、CHAdeMO方式の急速充電に対応するために、変換アダプターを用意するなどしたい。日本国内に1000台以上設置されている、CHAdeMO方式の急速充電器を活用できるようにすべきだろう」と述べる。
加えて同氏は、「モデルSの開発では、米国を除けば日本企業の貢献が最も大きかった。パナソニック以外にも、日立製作所、京セラ、デンソーなどが協力してくれた」と強調した。
「モデルS」には17インチタッチパネルが搭載されている(クリックで拡大)
モデルSは、前部座席中央に、縦長の17インチタッチパネルを備えている。実は、この大型タッチパネルを用いれば、モデルSの車両設定を自分好みに変更できるのだ。
ケルティ氏は、電動パワーステアリングの設定(3段階で変更可能)、車両後部のエアサスペンションによる車高の調整、電池パックの最大充電レベルなどを例として挙げた。
- テスラ・モーターズ モデルS インタビュー:「モデルS」の立ち上げに奮闘、エンジニアが支えるEVベンチャーの屋台骨
電気自動車(EV)ベンチャーとして知られるTesla Motors(テスラ)。セダンタイプのEV「Model S(モデルS)」の量産開始により、EVベンチャーから自動車メーカーへの転身を果たそうとしている。モデルSの開発と量産立ち上げに奮闘した、同社CTOのジェービー・ストローベル氏と、生産部門担当副社長のギルバート・パサン氏に話を聞いた。
- テスラのEV「モデルS」の換算燃費は「リーフ」の1割減、電池容量は3.5倍の85kWh
テスラモーターズが、2012年6月22日(米国時間)から出荷を開始する、セダンタイプの電気自動車(EV)「Model S(モデルS)」の換算燃費が判明した。電池容量が85kWhのモデルで、米国環境保護局(EPA)が定める換算燃費は89MPGe(約37.8km/リットル)となっている。ダッシュボード中央に設置した17インチサイズのタッチパネルディスプレイを含めた運転席周辺の様子も公開されている。
- 最強のスポーツカーを作るには、テスラの技術責任者に聞く
電気自動車(EV)にはさまざまな課題が残っている。ガソリン車で実現できていた性能、仕様をEVで達成できないことも多い。EV技術を採用したスポーツカー「Tesla Roadster」を作り上げたTesla MotorsでDirector, Battery Technologyを務めるカート・ケルティ(Kurt Kelty)氏にEVの電池技術について聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.