BMWが「1シリーズ」ベースのEVでカーシェア、運用実績を「i3」の開発に反映電気自動車

BMWが、タイムズ24のカーシェアリングサービスを活用した電気自動車(EV)の実証実験を国内で始める。使用するEVは、これまで使っていた「MINI」ベースの「MINI E」ではなく、「BMW 1シリーズ」ベースの「BMW ActiveE」である。

» 2012年07月23日 13時39分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]

 タイムズ24とBMWの日本法人ビー・エム・ダブリュー(以下、BMW)は2012年7月20日、タイムズ24のカーシェアリングサービス「TimesPLUS(タイムズプラス)」に、BMWが電気自動車(EV)を提供する形で、EVの合同実証実験を始めると発表した。実証実験には、これまで使っていた「MINI」ベースの「MINI E」ではなく、「BMW 1シリーズ」ベースの「BMW ActiveE」を使用する。タイムズ24の「タイムズステーション有楽町イトシア」(東京都千代田区)に2台、「タイムズステーション池袋」(東京都豊島区)と「タイムズステーション横浜山下町」(横浜市中区)に1台ずつ、計4台のBMW ActiveEをタイムズプラス用の車両として配備し、同日からサービスを始めた。

 BMW ActiveEは、BMWでMINIブランドを除いて最も小型のBMW 1シリーズをベースに開発された。外形寸法は全長4360×全幅1748×全高1438mmで、車重は1815kg。2ドアのクーペタイプの車両で、4人乗りである。前回の実証実験で使用していたMINI Eも、2ドアのクーペタイプだったが2人乗りだった。

前方から見た「BMW ActiveE」後方から見た「BMW ActiveE」 タイムズプラス用の車両として配備される「BMW ActiveE」の外観。「BMW 1シリーズ」をベースに開発したクーペタイプのEVである。(クリックで拡大) 出典:BMW

 最高出力が125kW/170ps(馬力)、最大トルクが250Nmの走行用モーターを搭載する。最高速度は毎時145kmで、0〜毎時100kmの加速時間は9.0秒である。リチウムイオン電池の容量は32kWhで、日常的な利用であれば満充電状態から160km走行できるという。電池パックの重量は450kgである。

「BMW ActiveE」のパワートレイン「BMW ActiveE」のパワートレイン 「BMW ActiveE」に搭載されている、リチウムイオン電池(1)、モーター(2)、インバータ(3)の位置。リチウムイオン電池が、エンジンルームから車両底部まで詰め込まれている。モーターとインバータは車両後部に搭載されている。(クリックで拡大) 出典:BMW
「BMW ActiveE」の充電コネクタ 「BMW ActiveE」の充電コネクタ(クリックで拡大) 出典:BMW

 充電には、欧州域内で利用可能な110V/16A(1.3kW)と240V/32A(7.7kW)の出力に対応する車載充電器を使う。充電時間は、110V/16Aが16〜20時間、240V/32Aが4〜5時間。コネクタ形状が同じなので、国内の100V/200V電源を用いる普通充電器で充電することもできる。ただしこの場合、電圧が低下する分だけ充電時間は遅くなるとみられる。

「BMW i3」の開発に反映

 今回の実証実験に用いるBMW ActiveEは、BMWが2013年以降の発売を予定しているEV「BMW i3」(関連記事)の「重要なマイルストーンになる」(BMW)という。実際に、BMW i3は、BMW ActiveEのモーターとリチウムイオン電池とほぼ同じものを採用する計画だ。

 BMWは、2011年3月から5カ月の間、28人のユーザーが参加して、MINI EによるEVの実証実験を行っている。これに対して、カーシェアリングサービス用の車両としてEVを運用する今回の実証実験では、より多くのユーザーによるEV利用の実態に関するデータや、EVに関する意見を収集できる。そしてこれらの成果を、BMW i3の開発に反映させる方針である。

 タイムズ24は、BMWブランドのEVが加わることで、カーシェアリングサービスのユーザー拡大が可能になる。

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