スマートフォンやタブレットPCなどのタッチパネルに付着しやすい指紋や皮脂の汚れ。東レが開発中のナノテク指紋付着防止フィルムを使えば、指紋が付着しにくく、汚れが見えにくくなるという。
スマートフォンやタブレットPCを使っている最中、タッチパネルにべっとりと付着した指紋や皮脂の汚れは気になるもの。同様にタッチパネルで操作することが多いカーナビゲーションシステム(カーナビ)は、画面を自由に動かすことができないこともあって、指紋や皮脂の汚れによりナビゲーション画面が見にくくなるという問題も発生する。
東レは、「人とくるまのテクノロジー展2012」(2012年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、カーナビのタッチパネルや表面に光沢性を持つ自動車部品向けに、新開発の指紋付着防止フィルムを提案した。撥油型フィルムの表面にナノメートル単位の凹凸構造(ナノ凹凸構造)を形成することで、指紋汚れが付着しにくい上に、もし指紋が付着しても見えにくくなることを特徴としている。
従来の指紋付着防止フィルムは、皮脂を付着しにくくする撥油型と、フィルムに付着した皮脂を表面上にぬれ広がらせて見えにくくする親油型の2種類がある。東レが開発した指紋付着防止フィルムは、独自のウェットコーティング技術によって、フィルムの表面に高撥油性の均一な膜とナノ凹凸構造を形成している。これらにより、フィルムの高い透明性や光沢感を維持しながら、指紋が付着しにくく、汚れが見えにくいという、撥油型と親油型の両方の特性を持たせることができた。フィルムの全光線透過率は91%、ヘイズ(光散乱)は0.6%、光沢度は155%となっている。
展示では、同社の指紋付着防止フィルムに皮脂が付着しにくく、見えにくいことを示すために、グリスを大量に塗った四角いスタンプを表面に押しつけるデモンストレーションを行った。既存の親油型指紋付着防止フィルムに、グリスを塗ったスタンプを押しつけると、スタンプの四角い形状がそのまま油汚れとして付着する。一方、東レの指紋付着防止フィルムにスタンプを押しつけても、スタンプの四角い形状の油汚れはほとんど視認することができなかった。
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