2025年度も減益予想のトヨタ、先を見通せずとも「軸をぶらさずじたばたしない」製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

トヨタ自動車は、2024年度(2025年3月期)連結業績に加えて、2025年度の業績見通しと重点取り組みについて説明した。

» 2025年05月09日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 トヨタ自動車は2025年5月8日、オンラインで会見を開き、2024年度(2025年3月期)連結業績に加えて、2025年度の業績見通しと重点取り組みについて説明した。

 2024年度の連結販売台数は前年度比0.9%減の936万2000台となった。日本市場で同0.1%減の199万1000台、北米市場で同4%減の270万3000台、欧州市場で同1.6%減の117万2000台など認証不正問題への対応による工場操業停止の影響はあったものの、中国を含むアジア市場で同1.9%増の183万8000台を確保するなどして減販幅を抑えた。なお、2024年度のトヨタ・レクサス販売台数における電動車比率は、HEV(ハイブリッド車)がけん引し前年度から8.8ポイント増加し46.2%となった。

トヨタ自動車の2024年度の連結販売台数 トヨタ自動車の2024年度の連結販売台数[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 2024年度の連結業績は売上高が前年度比6.5%増の48兆367億円、営業利益が同10.4%減の4兆7955億円、税引き前利益が同7.9%減の6兆4145億円、当期利益が同3.6%減の4兆7650億円となった。営業利益の期初予想は4兆3000億円だったが、円安に振れた為替変動の影響、原価改善の努力、価格改定やインセンティブの抑制、バリューチェーン収益の拡大による営業面の努力などによる積み増しの効果で4955億円の増益を実現した。

トヨタ自動車の2024年度の連結業績 トヨタ自動車の2024年度の連結業績[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
2024年度の営業利益増減要因 2024年度の営業利益増減要因[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 2025年度の連結販売台数は、自動車市場全体が減速する予測もある中で前年度比4.7%増の980万台となる見通しを示した。日本市場で同4%増の207万台、トランプ政権による相互関税の影響が予想される北米市場で同8.8%増の294万台、欧州市場で同4.1%増の122万台、中国を含むアジア市場で3.4%増の190万台と、全市場で前年度を上回るという。また、2025年度のトヨタ・レクサス販売台に占める電動車比率も同3.6ポイント増となる49.8%を見込む。2024年度までの電動車比率の伸びを支えてきたHEVだけでなく、PHEV(プラグインハイブリッド車)が同29.8%増、BEV(バッテリー電気自動車)が同113.8%増と大幅な成長を果たす見込みだ。

トヨタ自動車の2025年度の連結販売台数見通し トヨタ自動車の2025年度の連結販売台数見通し[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 2025年度の連結業績は、売上高が前年度比1.0%増の48兆5000億円、営業利益が同20.8%減の3兆8000億円、税引き前利益が同31.2%減の4兆4100億円、当期利益が同34.9%減の3兆1000億円と、売上高はほぼ維持するものの大幅な減益となる見通しだ。2024年度の営業利益からの減益要因としては、2025年に入ってから円高に振れている為替変動の影響で7450億円、資材価格で3500億円、関税影響で1800億円、認証不正への対応に向けて進めてきた「足場固め」のための総合投資で4700億円などを想定している。なお、1800億円の関税影響については、既に足元で影響が出ている4月/5月分のみを暫定的に織り込んだもので6月以降は含まれていない。

トヨタ自動車の2025年度の連結業績見通し トヨタ自動車の2025年度の連結業績見通し[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
2025年度の営業利益増減要因 2025年度の営業利益増減要因[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
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