入力xが正弦波で
だから、その微分である出力yは
従って、ゲイン特性は、20log(ω)(dB)で、位相特性は周波数ωに関係なくπ/2、つまり90°進んでいるんだ。ボード線図に描けば図7のようになるね
あるいは、入出力関係を微分方程式で表せば
これをラプラス変換すると
伝達関数をと書くことにすると
Gdif周波数応答特性を求めるためにはs=i・ωと置いてやればよいから
従って伝達関数のゲイン特性は20log(ω)(dB)で、位相特性は周波数ωに関係なくπ/2、つまり90°進んでいる、ということが簡単に導ける
ラプラス変換や複素数表示に慣れると、物事がスムーズに進むね
そうなんや。数学の理論的厳密性にこだわらないで、数学をツールとして考えると、数学は非常に有用で便利なもんということが分かるやろ
そうだね……。それで、図7の微分補償を、コントローラのPI制御に加えると、伝達関数G1は、こういう形になるね
微分することを英語でいうと、『Differential calculus』やろ。だから微分による制御を微分動作と呼ぶんや。そして『Differential』のDを取ってD動作ともいう。PI制御に微分を加えた制御方法をPID制御と呼ぶんや。この制御方法は有名だから聞いたことあるやろ?
うん、うん、有名だね。とうとう、PID制御まで来たんだね。ところで、PID制御の効果については、またボード線図を使って説明するんだよね
そうや
実はさぁ、ボード線図の描き方についていま一理解していないんだよね。前回のPI制御の説明のときの図4のボード線図のときもあんまり理解していなかったんだ。それでさ、PID制御の説明を聞く前に、一度ボード線図の描き方を復習して整理しておきたいんだよね。そうしないと、PID制御の話を聞いても理解できないと思うんだ
そうやな。ボード線図をきちんと理解しておかないと、実務では制御特性を改善することができへんからな。それじゃあ、ボード線図の描き方を復習してから、今回解答できなかった草太の1つ目の疑問について考えてみよう。その後で、ボード線図を使ってどのようにPID補償をしていくか、その手順を説明しようか……
周波数応答法では、ボード線図を使って補償制御を検討するため、ボード線図の描き方に慣れる必要があります。特に、PID制御の特徴を理解するためには、ボード線図についての理解が不可欠です。次回はあらためてボード線図の描き方について整理して説明します。
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