ラプラス変換と複素数が導く! +Dのご利益独学! 機械設計者のための自動制御入門(8)(3/4 ページ)

» 2010年10月13日 00時00分 公開
[岩淵 正幸/技術士(機械部門),@IT MONOist]

応答性能はゲイン特性を見れば分かる

 銀二さんは、前回の復習を兼ねて、次のような説明をしました。

 線形システムでは、開ループシステムの伝達関数に振動数ωの正弦波xを入力したときの出力yは、振動数ωで、振幅がA倍、位相がθ進んだ正弦波です。つまり、

です。


 ここで、便宜上、入力を


と書くと、出力は、


となります。

 これを、複素指数関数表示すると、


となります。

 従って、伝達関数G0は、

と表記することができます。すると、フィードバックシステムの伝達関数(閉ループの伝達関数)Gは、


ですから、閉ループGの振幅比|G|および位相∠Gはそれぞれ、


です。

 開ループGoのゲイン特性においてゲインが0(dB)のとき、すなわち入出力振幅比Aが1のときの周波数をωcとすると、一般に、周波数ωがωcを超えると振幅Aは小さくなりますから、ω>ωcではA→0です。すると(11)、(12)から、


となり、ω>ωcでは入力に追従できなくなります。従ってωcは閉ループシステムにおける応答性の目安ということになります。これをカットオフ周波数と呼ぶことがあります。ですから、図5の、では、カットオフ周波数ωcはそれぞれω1、ω2。ω2の方が高いので、の伝達特性を持つシステムの方が閉ループの応答性は高い、ということがいえます。

図5(再掲)

 ちなみに、開ループGoのカットオフ周波数では閉ループGの位相∠Gは、(12)から、


となり、開ループの伝達特性Goの位相遅れθが小さいほど、閉ループの伝達特性Gの位相遅れ∠Gも小さい、すなわち応答性が高いことが分かります。

通常、制御系の設計はシステムの安定性を重視するから、図5のG01、G02のように位相余裕は同じような大きさに設定する。だから、カットオフ周波数ωcが高ければ高いほど、応答性が高い、ということになるわけや


なるほど。すると、応答性を上げるためには開ループのボード線図のゲイン曲線を上に上げればいいってことだね


基本的にはそういうことなんやけど、ゲイン曲線を上げ過ぎると、図6で分かるように、位相余裕がなくなり不安定となる。せやから、むやみに上げることができないんや


図6 ゲイン曲線を上に揚げると不安定になる

すると図4のボード線図から考えて、これ以上はゲインを上げることができないみたいだね


図4(再掲)

そこで、新たな補償方法が登場する……


比例、積分と出たから、ひょっとして今度は微分?


ご名答!


微分の周波数応答特性ってどんなんだろう?


自分で考えてみぃ


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