銀二さんは、前回の復習を兼ねて、次のような説明をしました。
線形システムでは、開ループシステムの伝達関数に振動数ωの正弦波xを入力したときの出力yは、振動数ωで、振幅がA倍、位相がθ進んだ正弦波です。つまり、
です。
ここで、便宜上、入力を
と書くと、出力は、
となります。
これを、複素指数関数表示すると、
となります。
従って、伝達関数G0は、
と表記することができます。すると、フィードバックシステムの伝達関数(閉ループの伝達関数)Gは、
ですから、閉ループGの振幅比|G|および位相∠Gはそれぞれ、
です。
開ループGoのゲイン特性においてゲインが0(dB)のとき、すなわち入出力振幅比Aが1のときの周波数をωcとすると、一般に、周波数ωがωcを超えると振幅Aは小さくなりますから、ω>ωcではA→0です。すると(11)、(12)から、
となり、ω>ωcでは入力に追従できなくなります。従ってωcは閉ループシステムにおける応答性の目安ということになります。これをカットオフ周波数と呼ぶことがあります。ですから、図5の、では、カットオフ周波数ωcはそれぞれω1、ω2。ω2の方が高いので、の伝達特性を持つシステムの方が閉ループの応答性は高い、ということがいえます。
ちなみに、開ループGoのカットオフ周波数では閉ループGの位相∠Gは、(12)から、
となり、開ループの伝達特性Goの位相遅れθが小さいほど、閉ループの伝達特性Gの位相遅れ∠Gも小さい、すなわち応答性が高いことが分かります。
通常、制御系の設計はシステムの安定性を重視するから、図5のG01、G02のように位相余裕は同じような大きさに設定する。だから、カットオフ周波数ωcが高ければ高いほど、応答性が高い、ということになるわけや
なるほど。すると、応答性を上げるためには開ループのボード線図のゲイン曲線を上に上げればいいってことだね
基本的にはそういうことなんやけど、ゲイン曲線を上げ過ぎると、図6で分かるように、位相余裕がなくなり不安定となる。せやから、むやみに上げることができないんや
すると図4のボード線図から考えて、これ以上はゲインを上げることができないみたいだね
そこで、新たな補償方法が登場する……
比例、積分と出たから、ひょっとして今度は微分?
ご名答!
微分の周波数応答特性ってどんなんだろう?
自分で考えてみぃ
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